ドイツといえばソーセージ、そしてビールである。ドイツは誰もが知るビール大国であり、16歳からビールの飲酒が許可されている。ドイツでは水よりもビールの方が安いぐらいだ。そんなビールの国のドイツ連邦軍内でも飲酒は許可されており、一人一日2缶(500ml×2)までビール、または同等のアルコールを飲む権利が与えられている。しかし、そんなルールのためにドイツ軍はある問題に直面している。
撤退を前に大量に残ったビール
ドイツ連邦軍はNATOの一員として「Resolute Support Mission」のもとアフガニスタンに駐留しているが、米軍と合わせて9月11日までに同地から撤退することになっている。そこで大きな問題となっているのが、大量に残るビールの在庫の処分だ。イスラム教では飲酒が禁じられており、敬虔なイスラム教国家であるアフガニスタンでは現地でのアルコールの販売はほとんど行われておらず、ドイツ軍兵士が毎日飲む2缶のビールは軍の支給品として本国から輸送されている。2020年にはアフガニスタンに駐留する部隊3600人に約100万リットルのビールと、約7万リットルのワインとスパークリングワインが送られ、アフガンに駐留する兵士は一人あたり年間278リットルのアルコールを消費した。大量にあったアルコールも撤退まで数カ月を残す中、ドイツ軍が駐留するキャンプ・マーマルの基地には60,000缶以上のビールと数百本のワインとシャンパンのボトルが残るのみとなった。アフガニスタンにはまだ1,100人の兵士が駐留しており、全員が毎日2缶ずつ飲めば、1カ月もかからずに消費できる量なのだが、実は撤退に先立ってアフガニスタン国内で暴力が増大しており、駐留司令官は安全を期して撤退まで兵士の飲酒を禁止している。つまり、現在、基地に残るビールが消費できないのだ。このままでは在庫として大量に残る。そこで、ドイツ軍は残ったアルコールをアフガニスタン国内で販売しようと考えた。だが、前述したように宗教上の理由ではそれできない。少数ながら飲酒する者もいるが、アルコールを売ったとなれば国内から反発は買うだろう。次に廃棄処分も検討されたが、環境への配慮から、それも却下された。持ち帰ろうにも撤退する上で軍の輸送に余裕は無かった。
アルコールの処分に困っていたドイツ軍だが、ドイツ国防省のスポークスマンは月曜日に、アルコールを本国に送還する民間の請負業者を見つけたと述べた。民間業者はドイツ軍が撤退する前に全てのアルコールを運び出す予定だ。残る兵士は残りの期間、大好きなビールが飲めないことになる。
Source
https://www.theguardian.com/world/2008/nov/15/germany-afghanistan-beer