米国特殊作戦軍は兵士の老化防止薬の臨床試験を2022年から行う予定です

米国特殊作戦軍は兵士の老化防止薬の臨床試験を2022年から行う予定です
Photo USSOCOM

米国特殊作戦コマンド(SOCOM)は兵士の老化を遅らせるためのアンチエイジングの薬の臨床試験を行う計画を立てており、加齢による多くの退行性の影響を遮断または軽減することを目的とした錠剤の臨床試験を2022年度に開始すると述べています。

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最強といえる米軍特殊部隊の兵士といえど、老いには勝てません。年と共に体力は減り、筋力、瞬発力、判断力が低下していき、体力の回復、傷の治りも遅くなります。特殊部隊兵士は既に極限まで鍛え上げられた肉体と技術を持っており、トレーニングでそれをリカバリーするのは難しく、老化で一度低下した能力を戻すことは不可能です。そこでSOCOMは老化を遅らせることで能力の低下を鈍化させ、高い次元で能力を維持する期間を延ばし、特殊部隊員としての寿命を延長させことを考えました。

SOCOMは2018年以降、民間のバイオテクノロジー研究所であるMetro International Biotech、LLC(MetroBiotech)との共同研究に280万ドルを費やして老化防止薬の研究を行ってきました。同社は細胞レベルで老化を停止または部分的に逆転させること研究しており、同社の研究は中枢神経系、心臓血管系といった領域だけでなく、臓器や筋肉、または人間の骨格の領域にもプラスの効果があることを強調しており、抗炎症作用、創傷治癒にプラスの効果をもたらすことが期待されています。臨床試験に使用させるのは開発中の低分子化合物である「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化状態 (NAD+) エンハンサー」と呼ばれる錠剤です。 NAD+は代謝の中心となる補酵素です。NAD +レベルは、人間が加齢するにつれて低下することが示されており、これが加齢に伴う疾患や衰えに大きく関連しています。同社が開発した錠剤はNAD+を増加させることで老化を遅らせ、怪我や疲労の回復を早め、代謝性疾患から保護することが期待されています。錠剤は経口投与でき、細胞膜を通過して細胞内標的に到達することができます。「既に後続の性能試験を想定した前臨床安全性試験と投与試験を完了した。」 と、SOCOMの広報担当であるティモシーA.ホーキンス海軍司令官は述べています。

この取り組みの目的は、ドーピングのような薬物により肉体的強化を図るものではありません。通常は年齢とともに低下するパフォーマンス特性を改善することにより、兵士寿命を延ばし、部隊の持続性を強化することです。特殊部隊員は一般兵士と違い、高い能力と精神力を備えた最強の兵士であり、一人で数十人分、数百人分の戦力に匹敵すると言われています。その分、育成にはコストがかかり、特殊部隊兵士一人当たりの訓練コストは100~150万ドルとも言われ、莫大な費用と時間が投入されています(一般兵士の訓練コストは5万ドル~)。彼らを失う事は大きな損失であり、兵士寿命を延ばすことでコストを削減し、戦力を持続強化することができます。

実際、どこまで効果があるかは不透明です。この分野の第一人者である研究者によると、何もしないよりはましだが、最終的にどの程度効果があるかを疑問視しています。

SOCOMとMetroBiotechは、10月1日に始まる2022年度の連邦会計年度中に臨床試験を開始する予定です。

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https://www.genengnews.com/news/u-s-special-operations-command-to-test-anti-aging-pill/

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