中東の紅海に派遣されていたドイツ海軍のフリゲート艦ヘッセン(Hessen)が米空軍の無人機MQ-9リーパーを敵機と誤認し、二発の対空ミサイルを発射、しかし、迎撃は失敗した。
ドイツメディアのシュピーゲルの報道によれば、中東の紅海に派遣されているドイツ海軍のフリゲート艦ヘッセンは紅海周辺でイエメンの武装組織フーシ派から国際船舶の保護を支援するため、今年2月より警戒任務にあたっていた。2月26日月曜夜、ヘッセンのレーダーシステムが紅海上空を旋回する無人機を検知。これを敵機と判断し、乗組員は交戦規則に従って防御措置を開始し、同艦は対象に向けて対空ミサイル「スタンダードミサイル(SM-2)」二発を発射した。しかし、この無人機、実は同盟国である米空軍の無人機MQ-9リーパーだった。ただ、幸いな事に放った2発のミサイルは共に外れて、海上に落下した。
しかし、これはドイツ海軍の悲惨な状態を示すことになる。ドイツ国防省のミヒャエル・シュテンフル報道官は、無人機を標的として識別した際、その無人機がどの国の所属なのかが明らかではなかったと述べている。つまり、フーシ派といった敵機なのか、または同盟国のいずれかに該当する機体なのかも、わからずに攻撃したのだ。アメリカのMQ-9リーパー無人機であった事は後に判明している(MQ-9も敵味方識別装置(IFF)のトランスポンダーのスイッチを入れずに、他国の艦艇の配備状況も把握せずに飛行を行っていた)。
これだけでも大問題だが、更に問題なのはヘッセンが2発のSM-2ミサイルを使用しながら、無人機の撃墜に失敗した事だ。迎撃失敗の理由は技術的な問題と報じられている。今回は味方機で失敗して幸いだったが、もし、敵だったら、ヘッセンが攻撃受けていてもおかしくなかった。SM-2は米国のレイセオン社が開発生産するセミアクティブホーミング式、射程170kmの艦対空ミサイル。海上自衛隊含め、西側10か国以上で採用されている。
ただ、ヘッセンは直ぐにこの不安を払拭した。翌日夜に2機の無人機が同艦に接近。ヘッセンは76mm速射砲を使用して最初の無人機を迎撃、2番目の無人機はRIM-116ローリングミサイルを使用して撃墜した。2機のドローンはレーダーシステムによって認識され、それぞれ、距離が異なっていたため2つの異なる武器が使用されたと報告されている。使用している武器が2機の無人機は数km以内という近い距離に接近していたことが分かる。