クリミア大橋を攻撃したと噂される無人潜水艇REMUS 600とは?海自も使用中

クリミア大橋を攻撃したと噂される無人潜水艇REMUS 600とは?海自も使用中
US Navy

ロシア本土とクリミア半島を繋ぐ「クリミア大橋(ケルチ大橋)」が攻撃を受けた。この攻撃を行ったと噂されているのがイギリスからウクライナに提供された無人潜水艇「REMUS 600」だ。

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17日未明、ウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ唯一の陸路である「クリミア大橋」が何者かによって攻撃を受けた。二車線ある道路の内、一車線は橋板が外れ崩落しかかっており、もう一車線も橋板がずれている。道路は現在通行止めになっており、その影響は最大一か月に及ぶ可能性がある。クリミア大橋が攻撃を受けるのは2022年10月に続いて二度目。前回、ウクライナは関与を否定していたが、今月8日にウクライナのハンナ・マリャル国防次官が攻撃への関与を認めたばかりで、そして今回の攻撃だ。ウクライナは何も公式発表は出していないが今回もおそらくウクライナによる攻撃と思われる。クリミア大橋の攻撃はクリミア半島及び、南部のロシア軍への補給を経つことが目的だ。しかし、軍への補給は主に鉄道が担っており、鉄道の方は映像や写真を見る限り無事のようで、当日中には運転を再開している。昨年の攻撃時は鉄道にも被害が及んでおり、完全復旧したのは今年5月と半年以上かかっていた。それと比べると今回の攻撃は規模が小さかったのかもしれない。そこで気になるのが、今回の攻撃方法だ。前回はロシア側からクリミアに向かうトラックに搭載された爆発物によるものとされていたが、今回、攻撃の手法として噂されているのが無人潜水艇によるものだ。

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Closer look at the collapsed road span of the Crimean bridge pic.twitter.com/ZW1OOAKdns— OSINTtechnical (@Osinttechnica[…]

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イギリスから提供されて無人潜水艇REMUS 600

ネット上でクリミア大橋の攻撃に使用されたと噂されているのが魚雷型の中型無人潜水艇(UUV)のREMUS 600だ。米国のウッズ ホール海洋研究所によって開発され、現在は米国の軍用造船企業HHIの子会社であるHydroidによって製造されているUUVだ。REMUS 600は主に水路測量調査、機雷捜査、港湾警備といった水中、水上任務を目的に開発されたUUVで世界の海軍で採用実績がある。米軍を始め英海軍、そして、海上自衛隊も掃海目的に採用している。ウクライナに提供されたのはイギリスからと言われている。種別は不明だがイギリスがウクライナに無人潜水艇を送っているのは事実だ。

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スペック

REMUS 600の大きさは全長3.25m、直径32.4cm、重量240kg。水深600mまでの潜水が可能で、最大速度は5ノット(約9km/h)、スピードこそ早くはないが約70時間の長いバッテリー寿命を備えており、最大500kmの航続距離がある。ウクライナの掌握地域からクリミア大橋までの距離は160kmほどなので十分に届く距離だ。しかし、今回、海岸線から出航したのではなく、途中まで船で運んだと言われている。

兵器用ではない

ロシアは昨年のクリミア大橋の攻撃を受けて海上及び、空中からの攻撃にはかなり警戒したとされている。特に空中においてはイギリスとフランスから射程250km超えの巡航ミサイル「ストームシャドウ/SCALP」が提供されたこともあり、かなり警戒していた筈だ。もし今回、REMUS 600を使用して水中から攻撃したという事であれば、ロシアとしても虚を突かれた形だろう。

ただ、前述したようにREMUS 600は水中、海底調査用のUUVであり、攻撃用兵器ではない。見た目は魚雷だが、魚雷のような攻撃性能は持っていない。ペイロード能力はあるので爆薬を搭載することも可能かと思うが、兵器用ではないのでそう多くは積めないだろう。今回、損傷が一車線のみと考えるとそれもうなずける。ただ、REMUS 600を使用したいうのも憶測であり、事実は不明だ。水上艇の可能性もある。破損状況からみればミサイルではないだろう。それが分かるのはもっと先の話だ。しかし、無人潜水艇による攻撃の可能性があるという噂は少なからず、ロシアの防衛戦略に影響を与えることになるだろう。ロシアは水中にも気を配らないといけない。

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