NATO加盟国のギリシャが退役予定の32機のF-16をウクライナに供与する計画である事が分かった。実現すればウクライナに供与されるF-16の総数は100機を超えることになる。
ウクライナメディアの報道によれば、ギリシャは、旧式のF-16 Block30戦闘機32機を退役させて、一旦、米国に移動、米国で改修した後にウクライナに移送する計画だ。戦闘機の近代化計画を進めるギリシャは今年1月、40機のF-35ステルス戦闘機の購入で米国と合意。その他、フランスとは24機のラファールの購入に合意している。また、170機ほどあるF-16戦闘機の内、82機をF-16の最新モデルであるBlock70にアップグレードする。ギリシャ空軍は200機の戦闘機の維持を目標としており、近代化に伴い、古くなったF-4ファントムII、ミラージュ2000-5、余剰となるF-16を退役させる予定で、今回、F-16をウクライナに供与する事となった。
ギリシャ空軍は既存戦力として170機のF-16を保有、内訳は1980年代に最初に購入したF-16C/D Block30が40機。1990年代に購入したBlock50が40機、2000年代に購入したBlock52が90機。この内、一番古いモデルであるBlock30の退役は決定しており、売却する意向だったが、一転、ウクライナへの供与となった。ただ、アメリカが一旦、ギリシャから購入した上での迂回供与という報道もある。供与時期は明らかにされていないが、アメリカに輸送、近代化改修された後と報道されており、受け渡しは大分先になると思われる。
F-16の供与数は今のところデンマークが19機、オランダが24機、ノルウェーが2機、ベルギーが30機の計75機の供与が発表されており、ギリシャの32機の追加で供与総数は107機となる。ウクライナは120機のF-16が必要と述べていたが、実現に一歩近づいた。フランスがミラージュ2000、スウェーデンがグリペンの供与を発表しているので、合わせれば120機は優に超えることになる。ギリシャはミラージュ2000の退役も予定しているので、フランスと共同で供与という事も考えられる。
F-16のウクライナへの輸送は今月から始まっており、今月中には最初の6機が届く予定で、年内中に20機の移送を予定している。F-16の移送計画は2028年までを予定している。