ドイツ語の”Grenzschutzgruppe 9 der Bundespolizei (第9国境警備群)”を意味するドイツ連邦警察対テロ特殊部隊「GSG-9」。GSG9はテロ対策、人質救助、爆弾処理を専門とするテロ対策ユニットで世界でも先駆けて創設された警察対テロ特殊部隊(SWAT)で、1972年のミュンヘンオリンピック事件を経緯に創設された。
創設の経緯
史上最悪のテロ事件の1つであるミュンヘンオリンピック事件。1972年西ドイツのミュンヘンで開催された夏季オリンピック期間中の9月2日にパレスチナの過激派組織「黒い月」のメンバーがオリンピック選手村に潜入し、パレスチナと敵対するイスラエルの選手団を急襲した。最初の攻撃で2人のイスラエル人を殺害し、9人のイスラエル人選手を人質にとった。事件対応にあたったドイツ警察であったが、テロリストの数を過小評価していたこと、警官が誰も対テロ作戦の訓練も装備も持ち合わせておらず、救出作戦は大失敗する。結果、警官1人、テロリスト8人のうち5人、人質9人全員が死亡した。
この失敗を受けた西ドイツ政府は、当時の軍事政権ウルリッヒ・ヴェーゲナーの指揮の下、同年9月にGSG9という新たな対テロ部隊を創設した。この決定は、ドイツの連邦法が文民に対する軍事力の使用を明確に禁止していることを理由に、他の国で行われているような軍隊内部の特殊部隊ではなく連邦警察内部に創設された。この時、多くの政治家は、このような特殊な位置付けのGSG9の創設がナチス親衛隊SS(シュッツシュタッフェル)の記憶を呼び覚ますことを懸念し反対するも、翌年1973年にドイツ連邦警察(連邦国境警備局2005年に連邦警察に改称)の一部として正式に設立された。
任務実績
GSG9としての最初のミッションは1977年に起きた、パレスチナ人テロリストが、パルマ・デ・マリョルカからフランクフルトに向かう航空機をハイジャックした「ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件」になる。 テロリストは、ドイツ赤軍派メンバーの釈放を要求し、その後、中東のいくつかの目的地を飛んだ。この間、ルフトハンザ航空の機長ユルゲン・シューマンがイエメンのアデンでハイジャック犯のリーダーに殺害される。4日後、テロリストは航空機をソマリアのモガディシオに向け、そこに赤軍派メンバーを連れてくるよう指示する。ドイツ政府は、釈放すると嘘をつきGSG9を向かわせた。
コードネーム「Operation Feuerzauber(ファイアー・マジック作戦)」と呼ばれた救出作戦でGSG9はソマリアのレンジャー部隊とともに作戦を準備し、ソマリアの部隊が陽動をおこした隙にGSG9のメンバーが航空機を急襲した。作戦は7分間続き、作戦は無事成功し、GSG9の隊員1名と客室乗務員1名が負傷したものの人質全員が救出された。テロリスト側は3人を殺害し1人を捉えている。航空機への攻撃は、人質救出部隊が遭遇する可能性がある事件の中でもい最も困難で危険な作戦の1つと考えられており、 国際法執行機関とテロ対策機関は、GSG9がこの困難状況において優れた専門的な対応をしていることを称賛し、GSG9の名は一躍世界に広まる。また、同作戦にはイギリスSASもアドバイザーとして支援していた。
1973年の創設以来、GSG9は45年間で1,900件以上の任務を完了し、現在は年間50件ほどの任務をこなしている。彼らの特出すべき点は銃器の使用だ。これだけ数多くの任務をこなしていながら銃器の使用は僅か7回のみと推定されている。これは、GSG9が世界で最も有数な部隊の一つであること、人命を優先することを反映している。2005年のSWAT World ChallengeではGSG9は米国や日本などのSWAT17チームを破り、優勝し、翌年も優勝している。今ではその培った経験と知識を講師と他国のSWATを支援している。
装備
銃器
ドイツの銃器メーカーといえば世界的に有名なヘッケラー&コッホ(Heckler & Koch:H&K)社になり、GSG9の銃器の多くはH&Kや同じドイツのワルサーのものになる。
MP5
H&K 社のサブマシンガン(SMG)。「ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件」でGSG9のメンバーが使用し、人質救出を成功したことから評価が上がる。ライフルよりも威力が弱いので狭い空間での二次被害を防ぎ、拳銃と比べ連射が効くので威力が高く、対テロ、人質救出作戦に向いているとなり、各国の対テロ特殊部隊に配備された
No38 H&K MP5クルツA4 (18歳以上スタンダード電動ガン)
MP7
同じくH&Kの短機関銃になるが、MP5よりも口径が広く、威力が高いPDWカテゴリーの銃になる。
東京マルイ MP7A1 18歳以上ガスブローバックマシンガン
G36
H&K社が製造したアサルトライフル。ドイツ連邦軍でも採用され、様々なバリエーションが出ている。GSG9では銃身の短いG37C、G36Kが採用されている。
東京マルイ No.74 H&K G36C 18歳以上スタンダード電動ガン
HK416
H&K社が開発したアサルトライフル 。HK416は5.56㎜弾になり、7.62㎜弾を使用するHK417も採用している。
東京マルイ No.25 HK416 デルタカスタム ブラック 18歳以上次世代電動ガン
Steyr AUG(ステアー)
オーストリアのステアー社が開発したアサルトライフル。
東京マルイ No.6 ステアーHC タンカラーモデル 18歳以上ハイサイクル電動ガン
HK USP
H&K社が開発した自動拳銃。
東京マルイ No.13 H&K USP 18歳以上電動ハンドガン
Walther P99(ワルサーP99)
ドイツのワルサー社の自動拳銃。
PSG-1
H&K社が特殊部隊向けにG3アサルトライフルをベースに開発したセミオートスナイパーライフル。
DSR-Precision DSR-1
ドイツのDSR-Precision社が警察の狙撃手のために開発したボルトアクションのスナイパーライフル。
S&T DSR-1 エアーコッキング Grey【ハードガンケース付】 【180日間安心保証つき】
その他装備
GSG-9.7
ドイツのスポーツ衣料メーカーのアディダス社がGSGのために開発したコンバットブーツ。頑丈でクッション性に優れている。
ジン 腕時計 SINN UX.GSG9
GSG9の要請により開発され、実戦装備品として納入された腕時計。過酷な使用条件に耐え、視認性に優れている。