ロシアの軍需企業Rostecの子会社でパラシュートの世界的大手メーカーである”Technodinamika”はステルス機能を備えた高高度降下用のパラシュート「インビジブル・パラシュート」を開発。パラシュートはナイトビジョンといった暗視装置で捉えることができないとされ、夜間降下の隠密性が高く、特殊部隊による潜入任務の成功率が上げることが期待されてます。
暗視装置が捉えることができないパラシュート
パラシュートのキャノピーとコードには暗視装置から見えなくするための特殊なファブリックが特殊な製造方法によって組み込まれています。それに同じく見えなくする効果がある化学スプレーでコーティング。メーカーは全ての暗視装置がこのパラシュートを捉えることができないとうたっています。
特殊部隊・HALO用のパラシュート
このパラシュートは特殊部隊の潜入方法と用いられるHALO(High Altitude Low Opening)と呼ばれる高度1万m以上から降下する高高度降下低高度開傘用のパラシュートになります。HALOは航空機が高高度を飛行するためレーダーから検知されにくい上、オペレーターは高速で進入、低高度でパラシュートを開傘するので降下時も敵に発見されにくいとされます。
インビジブル・パラシュートには専用のヘルメット、暗視ゴーグル、酸素マスクがセットになっており、酸素ボトルは45分間分の酸素を供給します。パラシュートは非常に優れた滑空係数を持っており、風の状態が良好であれば、オペレーターは高度1万mの降下地点から最大60km離れて場所に着陸することができます。着陸後にハーネスからすばやく解放するためのクイックリリースカラビナも搭載されています
パラシュート、ヘルメット、マスク、ハーネスを含むシステム全体の重量は18kgで、最大50kgの荷物を持って降下することができます。
2021年12月からは海外への輸出も始まっています。
パラシュートは見えないけど人は見える?
パラシュートがステルス素材でもあっても、人までを見えなくすることはできません。人は熱を発するため、熱を視覚化する赤外線カメラ、サーマルカメラで人を捉えることができてしまいます。パラシュートが無いことにより見える面積、シルエットが異なるので発見されにくくはなりますが、降下する人自体は暗視装置で捉えることはできてしまうかもしれません。そもそも、レーダーはパラシュートと人を検知できてしまいます。パラシュートはステルスと言っていますが、レーダーに関しては言及していなく、レーダーには映る可能性はあります。「インビジブル・パラシュート」は高度な正規軍を相手に想定したものと思われますが、どこまで効果、意味があるのかは疑問です。