ウクライナがイギリスから供与された巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」。このミサイルを搭載し、発射したのはウクライナ空軍のSu-24戦闘爆撃機だったことが分かりました。ウクライナ空軍が保有する機体でストーム・シャドウ級の巡航ミサイルを搭載できるのはSu-24しかなく、機体は僅かしかありません。
🄫MBDAイギリスはウクライナへの新たな軍事支援として射程250km以上を誇る長距離巡航ミサイル「Storm Shadow(ストーム・シャドウ)」の提供を発表しました。[adcode]イギリスのベン・ウォレス国防相[…]
I was glad to host my great friend Ben Wallace, @BWallaceMP, in Kyiv.
— Oleksii Reznikov (@oleksiireznikov) May 24, 2023
We had a very meaningful discussion focused on priorities for increasing Ukraine’s defense capabilities, particularly providing long-range weapons such as Storm Shadow.
We also discussed prospects for… pic.twitter.com/kVEo8dtFMc
イギリスは5月11日にウクライナへの追加の軍事支援として射程250km超えの空中発射型巡航ミサイルの「ストーム・シャドウ」を複数提供したことを発表しました。発表の翌日には親ロ派が治めるルハンシクのロシア軍の航空学校を攻撃。これまで、少なくとも3度、攻撃に使用されており、射程を活かし、前線から100km以上離れた軍事拠点を攻撃しています。ウクライナのオレクシー・レズニコフ国防大臣はこれらの成果に対し、提供してくれたイギリスのベン・ウォレス国防相と握手する画像を自身のTwitterに投稿、謝意を示しました。そして、そこにはストーム・シャドウを搭載する航空機の写真も掲載されます。この画像から、攻撃を行ったのがウクライナ軍が保有するSu-24戦闘爆撃機だったことが判明します。実はウクライナ軍が保有する機体でストーム・シャドウが搭載できるのはSu-24しかありません。
ウクライナ軍が保有する戦闘機・攻撃機はどれもソ連製のMig-29、Su-27の両戦闘機、攻撃機のSu-25、そして、戦闘爆撃機のSu-24です。ストーム・シャドウは西側ではトーネード、ミラージュ2000、ラファール、ユーロファイターといった戦闘機タイプの機体に搭載されていたことこともあり、ウクライナではMig-29に搭載されるものと思われていました。Mig-29は既に西側基準の対レーダーミサイルAGM-88の運用実績もある、NATO基準に改修された機体もポーランドから提供されています。しかし、選択されたのは1960年代に開発されたSu-24戦闘爆撃機でした。なぜ、Su-24だったのでしょうか?ストーム・シャドウが物理的に搭載可能な機体がSu-24しかなかったからです。
ストーム・シャドウの重量は1発あたり1234kgにもなります。各機ともにペイロード的には問題ありませんが、ミサイルを装着するハードポイントの耐重量が1000kg未満のため、搭載することができません。1234kgの重量に耐えられるハードポイントを持っているのがSu-24のみでした。ストーム・シャドウを搭載したSu-24は昨年11月頃からポーランドでNATO基準のミサイルが運用できるよう改修をうけていたとされ、ストーム・シャドウの提供はこのタイミングで既に決まっていた可能性があります。
多くはないSu-24
ウクライナはソ連崩壊時、約200機のSu-24を受け継いだとされます。しかし、2014年時にはウクライナ空軍で運用されている機体は13機の後期量産型のSu-24M、7機の偵察機型のSu-24MRの僅か20機とされ、予備役の機体を含めて完全な状態で残っているのは2015年時点で最大で47機とされていました。ロシアの侵攻前には、共食い整備のためか、在庫は16〜24機のSu-24M、10機のSu-24MRと30機弱まで減っています。
Su-24MRは偵察型のため、攻撃に主に使用されるのはSu-24Mです。ウクライナ空軍のSu-24のこれまでの被撃墜数は少なくとも17機とされ、その多くが攻撃型のSu-24Mです。つまり、ストームシャドーが搭載できる機体は僅か数機しかありません。ウクライナ空軍にはポーランドなどからMig-29戦闘機は供与されていますが、Su-24が供与されたという情報はなく、戦力も補充されていません。Su-24MRもベースは一緒なので、改修すれば搭載できなくはないので、補充のために改修が進んでいる可能性があります。
ウクライナのレズニコフ国防大臣はストーム・シャドウが発射可能なプラットフォームは6機と述べていますが、正直な数を明かすのかはどうかは疑問であり、情報戦の一端である可能性もあります。ウクライナはドイツに射程500km、重量1,400kgの空中発射型巡航ミサイル「タウルスKEPD 350」の供与を要請しており、これが実現すればSu-24の重要度は更に増すことなり、機体の確保が問題になってきます。
🄫MBDAドイツの有力議員はウクライナに”TAURUS KEPD 350巡航ミサイル”を供与することを提案しました。[adcode]ドイツキリスト教民主同盟のローデリヒ・キーゼヴェッター議員は、ドイツメディアのRN[…]
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