2月28日(金)から公開が始まった韓国発の戦争アクション映画『PMC ザ・バンカー』。韓国と北朝鮮との間にある軍事境界線の下にあるバンカー(地下要塞)での緊迫した極秘ミッションが韓国、北朝鮮、米国、中国の4か国をも巻き込む戦争に発展する戦争アクション映画だ。この映画、よくある韓国の戦争映画だと思っているといい意味で期待を裏切られる、サバゲー、FPSゲーム好きには堪らないアクションエンターテイメントになっている。
まるでゲーム見ているかのよう
この映画を見て最初に思った事はゲームっぽいなというところ。戦争・アクション映画好きなら『メタルギア』シリーズや『コールオブデューティー』シリーズといったゲームのプレイ経験があると思う。この映画にはそれを思い起させるゲーム的なエンターテイメント、演出を感じるのだ。映画最初に始まるミッションブリーフィングでは大型スクリーンに様々な情報や映像が映し出せれて、作戦の概要が説明される。韓国映画なのだがセリフのほとんどは英語になる。隊員達にはP.O.Vカメラが付けられており、FPSゲームのような一人称視点のリアルな戦闘シーンが映し出させる。更に監督が考案したという球体の偵察ドローン。自律行動するこのドローンのカメラワークがまたバンカーとい狭い地下要塞の戦いをより際立たせている。監督自身ゲーム好きとのことで、ゲームを思い起こさせるシーンや演出が所々垣間見える。映画の後半には某人気サバイバルゲームのあのヘルメットも登場!?
PMCに注目!
映画のタイトルにもあるように、この映画の主人公であるエイハブはじめ「ラプター16」のメンバーたちは軍人はではないPMCになる。PMCとは”Private Military Company ”の略になり、意味は「民間軍事会社」になる。主な仕事は要人警護や重要施設や危険地帯の武装警備だ。これらの仕事以外にも正規軍を派遣できない、政府の関与を隠したい武力行為にPMCが派遣されるという話もある。本作ではアメリカの関与を隠したいCIAが雇ったPMCという構図になる。PMCは危険な任務が多いことからスタッフは元軍人が多く、エイハブも元韓国軍特殊部隊出身になる。彼らはいわば傭兵になる。これがこの映画の見どころである。
軍人は国のために戦う。ではPMCは?
軍人は何のために戦うのか?それは「国」だ。国への愛国心、忠誠心のために戦う。では、傭兵であるエイハブたちはいったい何のために戦うのか?これが、本作の一つの命題であり、監督も力を入れた部分になる。軍人ではないPMCに雇われた彼らが戦う目的、それはつまり「金」だ。そして、アメリカの不法滞在者であるエイハブには永住権もかかっていた。
本作では北朝鮮の要人を生け捕りにするというミッションが与えられる。それを達成すれば、報酬が得られる。簡単に終わるミッションの筈だったが予期せぬ展開によりエイハブ、仲間たちは様々な選択を迫られるのだが、そこの判断には軍人とは違う傭兵としてのドライで資本主義的な判断が垣間見える。それがよりストーリーをおもしろくする要素でもある。ただ、軍人、傭兵でも共通するものが一つあった、それは家族や愛する人を思う事だ。
リアルなPMC像
今回、PMC部隊ラプター16のメンバーには多種多様な人種が揃っている。このメンバーの中にはハリウッド俳優のケヴィン・デュランドがいる。出演した『バイオハザードV』では特殊部隊を演じ、人気ドラマ『LOST』では傭兵部隊の冷酷なリーダー役を演じた経験もあり、今回の役柄も見事にはまっている。他のメンバーも元特殊部隊、元傭兵のメンバーが含まれている。これらのメンバーによって、雰囲気、リアリティがぐっと増している。
こだわったPMC装備
PMCは民間なので、例えCIAに雇われたからといって、米軍のような正式装備は至急されない。そもそも軍属だと思われたり、つながりを示す装備は着用できない。そのため、PMCは兵士と見間違う上下迷彩を着てはいけないなどのルールがある。装備に関しては会社から指定が無ければ、基本は個人で揃える。そのため、PMC装備は軍装と違って統一感がない。銃も各人が使い慣れた物を選ぶことが多い。本作ではそのようなPMC装備にもこだわっており各メンバー、装備も銃も全て異なる。エイハブはスカジャンにワルサーP99拳銃、相棒のマーカスはシックな黒のアウターにSCORPION EVO3サブマシンガンと中々渋い選択にこだわりが見える。逆にインターンのローガンは大学生の様なスウェットに無難なM4カービンという選択はいかにも新人らしい。メンバーの中にはGlock18Cにコンバージョンキットの”RONI”を使うマニア好みの奴もいる。装備や銃を見ると各メンバーの特徴が見える。これらの装備に注目するのもサバゲー、ミリタリー好きには楽しみ方の一つだろう。サバゲーでPMC装備をする人は是非、参考にして欲しい。
北朝鮮の特殊部隊も登場
実は映画をよく見ると装備から北朝鮮の特殊部隊が登場しているのが見て取れる。ベールに包まれた北朝鮮軍、特殊部隊が登場する映画は中々無いので是非、注視してほしい。
実銃を使ったリアルな戦闘シーン
リアルな戦闘シーンも本作の見どころの一つだ。その要因は前述の一人称のカメラワークなどもそうだが、撮影に実銃を使っている点もある。
韓国はご存じの通り、徴兵制度があり成人男性には2年間の兵役義務がある。いわば韓国人男性は皆、元軍人だ。スタッフ含めて銃の扱いには慣れている。日本では撮影で銃を使う場合、プロップガンというリアルな発砲を再現したモデルガンを使用するのが一般的だが、本作ではアメリカから取り寄せた実銃を撮影に使っている。弾丸はもちろん空砲だが、モデルガンにはないリアリティや実銃だからこその緊張感がある。オモチャと思って扱うの実銃とでは俳優や現場の緊張感も変わってくる。ハリウッドでも実銃を使用するのが一般的だ。
とはいっても韓国の銃の管理は当然厳しく、その日の撮影が終わると警察署に銃を預け、翌日の朝に取りにくという事を繰り返していたようだ。
ストーリー
韓国特殊部隊の元兵士で、今は民間軍事会社(=PMC)の傭兵として作戦成功率100%を誇る隊長エイハブ(ハ・ジョンウ)は、依頼主であるCIAの密かな策謀、仲間の裏切り、国家間の政治的な駆け引きによって孤立し、バンカー内で絶体絶命の窮地に陥る。度重なる想定外の誤算に見舞われて状況は混乱し、ついにはアメリカ、北朝鮮、韓国、中国の陰謀が究極の死闘へと発展していく―。エイハブは自分を信じる部下たち、そして愛する妻のもとへ帰るため、本来は敵同士である北朝鮮のエリート医師(イ・ソンギュン)と手を組み無謀ともいえる作戦に打って出る。果たして、彼は仲間と共に生きてこの巨大バンカーから脱出することができるのか。いま、究極のサバイバルが始まる!
公式サイト http://pmcthebunker.com/
[adcode]韓国と北朝鮮の軍事境界線=DMZの地下30メートルに広がる巨大バンカー。その閉ざされた地下要塞で繰り広げられる極秘ミッションが、度重なる想定外の誤算に見舞われて混乱し、ついに世界レベルの“戦争”へと発展していく展開[…]
映画『PMC:ザ・バンカー』
2月28日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー!
出演:ハ・ジョンウ『神と共に』シリーズ、イ・ソンギュン『パラサイト 半地下の家族』
監督/脚本:キム・ビョンウ『テロ,ライブ』
配給:ツイン
2018年/韓国/125分/ビスタ/5.1chデジタル/日本語字幕:橋本裕充/提供:ツイン、Hulu
(C)2018 CJ ENM CORPORATION, PERFECT STORM FILM ALL RIGHTS RESERVED