イラクで魔改造されたPPSh-41短機関銃

イラクで近代化されたPPSh-41短機関銃の画像がSNSに投稿されました。同銃は第二次世界大戦中に開発された銃ですが、その面影は薄く、現代の短機関銃です。

木製パーツは一切なくなり、ストックには米軍のM4カービンにみられるような伸縮式のスライディングバット・ストック。グリップはピストルグリップになり、バレルジャケットにピカティニーレールが搭載され、スコープ、タクティカルライトが搭載されています。そして銃口にはパイポッド。外見はがらっと変わっていますが、バレルジャケットと特徴的なドラムマガジンから、それがPPSh-41というのが分かります。

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第二次大戦時に開発された短機関銃

PPSh-41はソビエトの設計者ゲオルギー・シュパギンによって1940年に開発、1941年にソビエト軍に配備された短機関銃になります。特徴的なドラムマガジンは71発装填の大容量、弾薬は強力な7.62×25mm トカレフ弾、発射速度900~1000発/分と、その圧倒的な火力はドイツ軍や日本軍を恐れさせ、ドイツ軍はそれを「バラライカ」、日本軍は「マンドリン」と呼びました。終戦まで500万挺が生産されるも、戦後、AK-47が登場すると、ソ連軍からは姿を消しますが、中国や北朝鮮に引き継がれライセンス生産されると朝鮮戦争、ベトナム戦争で使用されます。しかし、これらも同じくAK-47の普及によって姿を消していきます。

PPSh-41は中東に

しかし、PPSh-41はその後、中東に引き継がれていたようで、アメリカが2003年にイラクに侵攻した際、反乱軍や現地の武装組織の一部はPPSh-41で武装していました。年代物のこの銃が珍しかったのか、米軍兵士が押収したPPSh-41を構えたり、試し撃ち、CQB訓練に使用する様子が多数収めされています。

魔改造するガンスミス

中東でPPSh-41といった古い銃が使用されるのは珍しくありません。シリア内戦では同じくWW2時のドイツのアサルトライフルSturmgewehr 44やロシアのモシン・ナガンが使用されています。武装組織や民兵は正規ルートで最新の銃を購入することはできないので、戦後の混乱期や過去の紛争で手に入れた古い銃や、政情不安な地域というこもあり軍や警察から多くの銃が闇に流れています。最近ではイラク軍や旧アフガニスタン軍、クルド人部隊などアメリカの支援を受けた軍からM4やM16といったアメリカ製の銃が多数流通しています。しかし、古い銃や不正に入手された、これらの銃はもちろんメーカー修理は受けられず、純正のスペアパーツも手に入れることはできません。そのため、中東では独自に銃を修理、カスタマイズする民間のガンスミスが多数いるとされます。彼らは中国の安価なパーツを使ったり、独自にパーツを作るなどして、これらの銃や、既に生産停止なっている、昔の古い銃を独自に修理しています。

時には世の中に一つしかないないような魔改造した銃を作ることも。冒頭で紹介した近代化したPPSh-41もその一つであり、AK-47を無理くりカービン化したり、トカレフピストルをフルオート化、異なる銃をがっちゃんこしたりと、イラクや中東には通常見ることがないような変わったデザインをした銃が多数存在します。

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イラクで魔改造されたPPSh-41短機関銃
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