陸上自衛隊の新機関銃MINIMI Mk3、新狙撃銃G28

陸上自衛隊の新機関銃MINIMI Mk3、新狙撃銃G28
FN herstal

防衛省は2023会計年度の陸上自衛隊の歩兵用銃器として、新たに2つの銃を取得することを発表しました。一つ目が現在の5.56mm機関銃MINIMIの後継装備となる5.56mm機関銃MINIMI(B)、そして2つ目がM24狙撃銃の後継となる「新対人狙撃銃」です。新しく陸上自衛隊に採用される2つの銃について紹介します。

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5.56mm機関銃MINIMI(B)-MINIMI Mk3

Photo FN herstal

MINIMI(B)と聞きなれない名前ですが、これはMINIMIの開発生産元であるベルギーのFNハースタル社が開発したMINIMIシリーズの最新モデルFN MINIMI Mk3を指します。MINIMIは1970年代にFNハースタル社によって開発された5.56/7.62mmの軽機関銃になり、MINIMI Mk3は多くの新機能を含んだMINIMIの改良版になり、2013年11月に発表されました。

主に人間工学を取り入れた改良が行われており、これまで固定式だったストックには5段階で長さを調整できる伸縮ストック、6段階で高さ調整可能なチークパッドを採用。これによりボディアーマーとの補正、目線を照準器に正しく合わせることが可能になり、体格が小さい日本人にも扱いやすくなっています。また、ストックに統合された油圧緩衝器によって反動を低減、連射時でも安定した射撃を提供します。更に人間工学に基づいたコッキングハンドルは弱い力でもコッキングが可能に。リロードが面倒なベルト給弾については片手でも簡単にリロード可能なベルト留め具がついたフィードトレイを採用しています。バレルにはショートバレルとロングバレルがあり、これらはすぐに交換可能です。

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それもあって、Mk3には空挺部隊用など様々なバリアントがありますが、自衛隊がどのモデルをどれだけ採用するかは今のところ不明です。変換キット7.62mm口径にも換装できますが、5.56mmと言っているので現在、世界で機銃口径としてトレンドの7.62mm口径は今回採用しないでしょう。

防衛省は3100挺の調達を予定しており、1挺あたりの量産単価は190万円、スペアバレル用の耐熱バッグ、防塵キャリーバックなども含め総額149億円の費用を見込んでいます。また、これまで自衛隊が使用してきた機関銃はMINIMI Mk1を始め住友重機械工業が生産を担ってきました。今回の新機関銃の選定にも同社は、参加していましたが、2021年に機関銃生産から撤退を表明、今回のMINIMI Mk3はFNハースタル社製で海外からの輸入となります。

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陸自の次期機関銃候補 MINIMI Mk3
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新対人狙撃銃-G28

HK417をベースにしたマークスマンライフルG28とM110A1
Bundeswher

新対人狙撃銃として新しく採用されたのはドイツのヘッケラー&コッホ社が開発生産するG28になります。これは現在使用されているボルトアクション式レミントンM24狙撃銃の後継となります。

G28は7.62mmのHK417ライフルをベースにした分隊マークスマンライフル(SDMR)で、既にドイツ連邦軍に採用されており、アメリカ陸軍でも同型モデルがM110A1と名で採用されているなど信頼と実績があるライフルです。

H&K

ボルトアクションのM24とは異なり、20発装填のマガジンを使用するG28はセミオートと速射性に優れ、アサルトライフルに近い使い方も可能です。HK417の民間モデルである”MR308”をベースにしており、MR308は競技用として高精度のバレルが使用されていることもあり、従来のHK417よりも精度が優れており、1.5 MOAの精度を誇ります。射程は600mから最大1000m、折畳式のバイポッドを標準で備え、伸縮式のストック、チークパッドを備えます。

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G28にはSchmidt & Bender 3–20×50PM IIスコープを搭載した標準モデルのG28E2と、Schmidt & Bender 1–8×24PM IIスコープを搭載したパトロールモデルのG28E3の二つのバージョンがありますが、今回、陸上自衛隊が採用するのは標準モデルのG28E2です。G28はHK417の大部分を踏襲しており75%の部品互換性がありますが、自衛隊がHK417を採用していないので、そのメリットはありません。

防衛省は最大900挺の調達を予定しており、量産単価は700万円、光学機器、バイポッド、垂直グリップを含め、総額93億円の予算を計上しています。

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HK417をベースにしたマークスマンライフルG28とM110A1

陸上自衛隊は2020年に新小銃として国産の20式小銃、新拳銃としてヘッケラー&コッホ社のSFP9、小銃に取り付けるアタッチメント式グレネードランチャーにイタリア・ベレッタ社のGLX160 A1を採用しています。GLX160 A1の調達は20式小銃の調達を優先した関係で遅れており2024年度予算で計画されています。

今回、新機関銃、新狙撃銃が決まったことで陸上自衛隊の新小火器一式が出そろったことになります。

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新たな重要装備品等の選定結果について

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