アメリカの軍需企業ロッキード・マーティン社が開発生産する第5世代ステルス戦闘機F-35の生産数が1,000機という節目のマイルストーンに到達した。しかし、この喜ばし記録も、今の同社には素直に喜べない事情がある。
ロッキード・マーティン社は最近、1,000機目のF-35ライトニング IIの生産を完了し、第5世代ステルス戦闘機としては初の大台を達成した。F-35は2006年12月にF-35Aが初飛行、2015年7月には米海兵隊でF-35Bが初就役、翌年には空軍にF-35Aが、2019年には海軍にF-35Cが就役。2019年からフルレート量産が始まり、現在の年間生産数は150機を数える。今年初めのデータによると、F-35は総出撃回数46万9,000回を数え、飛行時間は77万3,000時間を超えている。2,280人を超えるパイロットが訓練を受け、15,400人の整備要員が訓練を受けている。9か国で開発がスタートしたF-35は現在、17か国が採用し、採用国は年々拡大している。
F-35は納入停止中
1000機の生産完了というのは本来喜ぶべき記録なのだが、ロッキード・マーティン社は現在、それを素直に喜べない状況にある。同社は当初、2023年末までに1,000機目のF-35を納入する計画を発表していたので計画よりも遅延。しかも、下半期に生産した機体は納入すらできていない。その理由は機体に搭載されるソフトウェアにある。現在、生産中の最新のブロック4モデルには新しいTechnology Refresh 3 (TR-3) ハード/ソフトウェアが搭載されるのだが、開発テスト中に発見された課題のため、機体自体の生産は完了したもののTR-3は搭載されておらず、機体のテスト、納入が完了していない。
16億ドルをかけて開発されたコックピット電子機器をアップグレードするTR-3は、2023年生産の機体から搭載される予定だったが、飛行試験中に不安定なコードが発見されたことによる遅れが続いたため、米国防省は昨年6月に納入を停止。 日本も、TR-3ソフトウェアが修正されるまで、新たなF-35の納入を拒否している。2023年中に解決させる計画だったが、まだ未解決で、それもあり、2023年には全世界で150機前後を納入する予定だったが、納入数は120機前後に落ち込んでいる。ちなみに2023年上半期に生産納入された機体は前バージョンのTR-2を搭載している。
F-35は現在も生産は続いているが、ソフトウェアの課題が解消できない限り、納入はできない。納入が遅れるたびに同社は1機あたり、700万ドルの損失を被ると見られている。
Source
https://www.sandboxx.us/news/lockheed-martin-has-now-built-1000-f-35s/