プーチン一人では核は撃てない。ロシアの核ボタンを持つ3人

プーチン一人では核は撃てない。ロシアの核ボタンを持つ3人
Photo TASS

ウクライナに侵攻したロシアは苦戦しており、ここにきてウクライナ軍が攻勢にでるなどロシアは追い込まれている。ただ皮肉なことにウクライナが善戦すればするほど、追い込まれたプーチンが何をするか分からない。もっとも恐れられているのが核兵器の使用だ。プーチンは最初から核兵器の使用も辞さないと脅しをかけ、2月27日に核抑止力部隊を特別戦闘準備態勢に移行させた。これは核兵器使用前の第2段階になる。次の段階ではミサイルに核弾頭が搭載される。そして、最後が発射前段階になり、発射ボタンを押せば核兵器が放たれる状態になる。しかし、核兵器はプーチンが核のボタンを押せば発射というわけではない。

sponser

3つのブリーフケース

アメリカ大統領が常に「フットボール」と呼ばれる核発射装置が入ったブリーフケースを帯同させていることは有名な話だが、ロシア大統領も核発射装置が入ったブリーフケースを常に帯同させている。この中には戦略弾道ミサイル、戦略爆撃機、原子力潜水艦のいずれから核兵器を発射するためのコードが入っており、これがあって初めて核兵器使用の命令が下さる。しかし、核兵器発射の命令はロシア大統領一人だけでは出すことはできない。ブリーフケースは3つあり、大統領以外に2人が所持しており、発射にもう一つのコード、計2つのコードが必要になる。つまり、もう一人の同意がないと核兵器を発射できないのだ。では、残りの2つの核のブリーフケースは誰が持っているのであろう。

セルゲイ・ショイグ国防相

セルゲイ・ショイグ国防相
mod russia

1991年のロシア連邦成立当初から大臣を務め30年以上、クレムリンの中枢にいる人物。ソ連崩壊後の混迷期に危機管理能力を発揮、非常事態相も務めるなど国民から信頼を得ると軍人の経験が何にも関わらず、2012年からプーチンによって国防相に任命される。その語、シリア内戦、ウクライナ騒乱に国防相として軍事介入すると2014年のクリミア侵攻では主導的な役割を担いクリミア併合の立役者となる。プーチンとは長い付き合いで、プライベートでも一緒に釣りに行くなど中が良く、プーチンに直言できる関係性でもある。

sponser

ヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長

ヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長
mod russia

セルゲイ・ショイグとは異なり、その生涯をほぼ軍に捧げてきた生粋の職業軍人。高等戦車指揮学校、士官学校を卒業すると師団の参謀長、司令官を歴任。第二次チェチェン紛争ではモスクワ軍管区の副軍司令官を務めると、その後、複数の軍管区の司令官を歴任した。2012年に今のロシア軍の参謀長に就いた。2015年のロシアのシリア紛争の介入の際は軍を主導し、ロシア連邦英雄賞を受賞している。軍人経験が無いセルゲイは彼を頼っているとされている。彼は夏に開催された国際安全保障に関するモスクワ会議で、ロシア国家の存在が脅かされた場合、核兵器を使用すると宣言している。

プーチンから核抑止力部隊を特別戦闘準備態勢に移行するように命令を受けたのもこの2人になる。プーチンが核を使うとなれば、少なくともこの2人のどちらかの承認が必要になり、2人とも拒否すれば核は撃てない。だが、軍の最高指揮官は大統領であり、核兵器の使用の決定権は大統領にある。軍人である彼らは基本命令に背くことはできない。また、ウクライナ侵攻作戦の責任者は彼ら2人であり、プーチンから信頼が厚かった2人は、当初の侵攻計画の頓挫により2人の影響力は低下しているとされている。

最近の情報としてウクライナ侵攻後、ショイグ国防相が3月11日以降、姿を現していないという情報があり、侵攻計画の失敗の責任を負わされたか、侵攻に反対して辞任したともいわれている。

sponser
sponser
プーチン一人では核は撃てない。ロシアの核ボタンを持つ3人
フォローして最新情報をチェックしよう!