フランス国家警察特別介入部隊ことRAID(レイド)はフランス国家警察内に作られたテロ対策部隊であり、特殊戦術ユニットになる。RAIDはRecherche:捜査、Assistance:支援、Intervention:支援、 Dissuasion:介入の4単語の頭文字からきている。
仏国内4番目の対テロ特殊部隊
他のヨーロッパ各国の特殊部隊と同様に1972年のドイツミュンヘンオリンピック事件で起きた人質事件が大きなきっかけとなり、対テロ、人質救出に長けた特殊部隊の設立が検討される。先行して1972年に国家警察総局下にGIPN、パリ警視庁下にBRI、1974年にはフランス国家憲兵隊内にECRI(今のGIGN)が創設された。そして、遅れる事1985年6月に国内4番目の対テロ特殊部隊として国家警察内にRAIDが設立される。
仏全土に対応できる特殊部隊
RAIDは警察内では3番目に設立された部隊だが、現在では対テロ部隊としては警察の最高組織なっている。GIPNは現在、国内では廃止されRAIDに統合、GIPNとしての活動は海外領土のみになる。BRIの管轄は首都であり最大都市のパリになる。RAIDは唯一フランス全土で活動できる警察特殊部隊になり、規模、実力は準軍事ユニットのGIGNと双璧をなす。RAIDとGIGNは混同されがちだが、組織(警察・憲兵)が違い、活動範囲は多少ダブるが、GIGNは国内外で活動が可能になる。
police-nationale.netフランス国家憲兵隊治安介入部隊「GIGN」は国家憲兵隊の特殊部隊だ。GIGNはフランス語のを”Groupe d’intervention de la gendarmerie national[…]
任務
・テロやハイジャック、人質事件への介入
・暴力的な犯罪組織やテロ組織への対処において他の警察や治安機関を支援
・国内での国際的、大規模なイベントにておいて緊急時に対応できるよう待機、警察、他の治安機関を支援
・政府高官のほか、フランスを訪問する外国の大統領や国家元首の警備・保護
オリンピックではフランス選手団の警護も行っており、東京オリンピックでもコロナが無ければ選手団と一緒に来日していたかもしれない。
2015年1月のパリ同時多発テロ事件では主要な役割を担っており、ユダヤ系のスーパーマーケットでの人質事件では強行突入を行い犯人を殺害している。
人員・編成
RAIDの本部は、パリ郊外のビエーブルにある。男女合わせて450人のオペレーターがいおり、本部のあるパリの部隊の人員は180人、60人づつの3つのセクションに分かれている。
・第1セクション
介入、監視、保護など直接行動を行う部隊。
・第2セクション
研究開発ユニットになり、技術研究、情報収集を行う。インテリジェンス・技術・武器の3つのグループに分かれている。
・第3セクション
交渉や危機管理を担当する。隊員の中には法医学の専門家、心理学者、医師などがいる。
入隊するには年齢25~35歳で少なくとも5年間の警察での実務経験が必要になる。選考プロセスを通過した後、候補者は肉体的、精神的にも厳しい9か月の基本トレーニングに従事し、無事を終えると正式隊員になれる。全ての部門の門戸が女性にも開かれている。
RAIDの装備
GIGN同様に犯人への恐怖心を煽るためか全身黒づくめの格好することが多い。銃器に関しては警察の特殊部隊にしては珍しく選択の自由がある。ただ、使用する武器はある程度決まっているようだ。
サブマシンガンはGIGNを始めヨーロッパの特殊部隊で広く使われているMP5。近接から中距離までバリエーション豊富なG36シリーズや距離と威力が必要な場合はSIG SG551や最近ではHK416・HK417が使われる。
拳銃は主にグロック17と19、SIGSP2022(写真上)が使われている。
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