イギリス海軍は13日金曜、トラファルガー級原子力潜水艦HMS Triumph(トライアンフ)が最後の航海を終え、母港デボンポート海軍基地に入港したと発表した。トライアンフはトラファルガー級潜水艦最後の船であり、約40年に及ぶ同級の歴史に幕を閉じることになる。
トラファルガー級原子力潜水艦の7番艦で最後の船であるHMSトライアンフは、スコットランドのクライド海軍基地から最後の航海を終え、母港であるデヴォンポート海軍基地に入港した。トライアンフは港があるプリマス湾に入る際に、退役記念旗を掲げ、他の英海軍艦艇に護衛される形でパレードを行い、英海軍潜水艦としての任務終了が宣言された。
HMSトライアンフの司令官であるアーロン・ウィリアムズ中佐は、「HMSトライアンフが退役を準備する中、私たちは大きな誇りを持って彼女の遺産を振り返ります。この潜水艦は単に船としてだけでなく、献身、勇気、友情の象徴としての役割を果たしてきました。そして、トライアンフの物語のこの章は終わりますが、彼女の精神は、彼女に仕えたすべての人の記憶と、彼女が守るのに貢献した国々の感謝の中で生き続けるでしょう。トライアンフは、すべてのミッション、展開、そして勝利の背後にある静かな強さと献身で任務を遂行してきましたが、私たちの後ろに立っていた家族の犠牲と揺るぎない支援がありました。」と述べた。
HMSトライアンフはトラファルガー級潜水艦の7番艦で最後に建造された。他の姉妹艦6隻は既に退役。トライアンフが最後になる。今後の潜水艦による哨戒任務は後継のアスチュート級原子力潜水艦が担う事になる。
トラファルガー級原子力潜水艦
トラファルガー級原子力潜水艦は冷戦時代の攻撃型原子力潜水艦として設計され、1979年に1番艦のトラファルガーが起工。1983年に就役した。その後、姉妹艦のタービュレント、タイアレス、トーベイ、トレンチャント、タレント、そして、トライアンフの7隻が建造された。
全長85mで、乗員130名。30ノット(56km/h)以上の速度。テストでの潜航深度は600m。ロールスロイス社製PWR1原子炉、ゼネラルエレクトリック社製蒸気タービン、パックスマン社製ディーゼル発電機、アレン社製ターボ発電機、ポンプジェット推進装置が装備されている。船体は無反響タイルで覆われており、ソナーの音波を吸収して探知されにくくなっている。また、強化されたフィンと格納式水中翼を装備しており、厚い氷の上を航行でき、最大3か月間、支援なしで海上に留まることができる。武装には射程1600kmのトマホーク巡航ミサイル、ハープーン対艦ミサイル、スピアフィッシュ魚雷を搭載している。
アフガニスタン、イラク、リビアに投入され、地上標的に対し、トマホーク巡航ミサイルを発射している。1991年に就役した同級最後の船トライアンフは1993年、オーストラリアに向けて出航、前方支援なし、潜水状態で66,000kmの距離を航行。当時の原子力潜水艦による「最長単独航海」を記録している。一番艦のトラファルガーが2009年12月に退役。2022年5月までに6番艦までが退役し、残るはトライアンフのみになっていたが、2024年12月に最後の航海を終え、任務終了を宣言。トラファルガー級は全艦退役となる。ない、トライアンフの正式な退役式は来年1月を予定している。トラファルガー級原子力潜水艦が担っていた哨戒任務は後継のアスチュート級原子力潜水艦が担う事になる。同級は2010年8月に1番艦のアスチュートが就役。これまで5隻が就役しており、トラファルガー級と同数の7隻の建造を予定している。英海軍にはこの他、核ミサイルを搭載したヴァンガード級戦略ミサイル原子力潜水艦4隻が就役している。