ロシアはインドにSu-75チェックメイト戦闘機の共同開発を持ちかける

Rostec

ロシアが2021年7月に発表した第5世代ステルス戦闘機のSu-75 Checkmate(チェックメイト)。その後、ウクライナ侵攻に伴うリソース不足と経済制裁もあり、開発が全く進んでいないとされていますが、これを打破する為か、ロシアはインドに共同開発を持ちかけています。

ロシアの国営メディアのTASS通信の報道によれば、2月にインドで開催される軍事展示会「エアロインディア2023」で、ロシアがSu-75を展示、そして、インドに共同開発を提案する予定だと報じました。

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輸出向けのステルス機Su-75

Su-75はロシアの国営軍需企業ロステック傘下の統一航空機製造会社UACのスホーイ設計局によって開発されている新型の第5世代ステルス戦闘機です。ロシアのステルス戦闘機というとSu-57が有名ですが、現在、国内での運用に留まっている同機に対し、Su-75は元よりロシア国内向けではなく、海外輸出を睨んで開発された戦闘機です。オープンアーキテクチャを採用し、顧客の希望に応じて機能構成を変更でき、共同開発、海外への技術移転も可能と謳い、価格はステルス機としては破格の2500万ドルから3000万ドルを予定するなど、海外市場でアメリカのF-35や中国のJ-20に対抗するロシアの兵器産業の戦略的機体です。2021年のモスクワ航空ショーで初めて発表すると、積極的に営業をしかけ、ステルス機を保有していない中東諸国やアフリカ、東南アジアなどから引き合いがあったとされます。

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ウクライナ侵攻で開発が停滞

2021年の最初の発表の際、Su-75は2023年に初飛行を予定していました。2021年11月のドバイ航空ショーにも出展し、Su-75の香りがする香水を発表するなど、その後もSu-75は各国から注目を浴び、開発は順調のように見えました。しかし、翌年2月にウクライナに侵攻することで事態は一変します。侵攻に伴う西側の禁輸措置で機体の開発に必要な高度な部品の調達が難しくなります。数日でのキーウ攻略を目論んでいたものの侵攻は失敗し、戦闘は長期化。その上、ロシア軍の兵器の損耗が激しく、現在優先させれているのは戦力の回復、つまり、既存兵器の生産と修理です。そこにリソースが割かれているため、ロシア国内の新兵器の開発はストップしているとされます。そんな現状もあってかSu-75に関心を示していたアラブ首長国連邦の投資家も撤退。開発元のUACは初飛行を1年延期し、2024年の第4四半期以降にすると発表しました。とはいえ、現状が変わらなければ2024年の初飛行も難しいでしょう。

現状を打破するため、ロシアは新たなパートナーを探しており、そこで目をつけたのが、T-90S戦車やSu-30MKI戦闘機を運用するロシア兵器産業の長年の重要顧客であるインドです。T-90Sなどはインドでライセンス生産されており、両国間では既に兵器生産に関する実績があります。しかし、インドは近年、兵器の国産化進めており、更に戦闘機においてはフランスのラファールの購入を増加、国産初の空母INS Vikrantの艦載機にもラファールMを採用するなど、フランス機の割合が増えています。更にロシアの現状を考えるとロシア製兵器の調達に不安があり、ロシア離れが進んでいるとされます。とはいえ、インドとしてもステルス機の技術は欲しい所です。インドがロシアの提案に乗ってくるのかどうか、非常に気になるところです。

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