ロシア航空宇宙軍は5月末に6機目のSu-57戦闘機の量産モデルを受領したことが分かりました。Su-57はロシアの誇る最新戦闘機で第5世代のステルス戦闘機はウクライナ侵攻にも参加しています。
コムソモリスクにあるアムール航空機工場は機体番号53と54の2機の連続したナンバーのSu-57をロシア航空宇宙軍に納入しました。この機体はSu-57の量産モデルの5機目、6機目になります。昨年12月から今年1月にかけて機体番号51と52の2機が納入されており、直近半年で4機目の納入になります。ロシア空軍は2025年までに14機のSu-57の納入を目指しており、直近で4機と納入は順調そうに思えますが、前途は多難です。
量産は大きく遅延
Su-57の量産が始まったのは当初の2015年予定から送れること4年、2019年7月からになります。その年、ロシア国防省は76機のSu-57を発注。しかし、同年12月に1機目の量産機が高度8,000メートルでテスト飛行中に制御システムが故障し、墜落。量産は一時ストップ。それもあって、量産開始から3年を経てようやく5機目と6機目の納入と大分ペースが遅くなっています。つまり、ウクライナ侵攻時点で実戦配備されているSu-57は僅か3機しかありませんでした。大変貴重な機体であり、ウクライナ侵攻にもほとんど登場しないのはそのためです。Su-57の参戦が確認されたのも撃墜リスクが少ないクリミア上空からのKh-59巡航ミサイルによるスタンドオフでの対地攻撃で空対空戦には参戦していません。
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Su-57は最新のアビオニクス、レーダー、ステルス機能を備えた高度な電子機器の塊です。これを生産にするには西側の優れた半導体や電子パーツが必要になりますが、2014年のクリミア侵攻以降、制裁で軍事転用な可能な部品の輸入に制限が掛かっており、さらに今回のウクライナ侵攻の追加制裁で入手はほぼ絶望的です。実際、パイロットヘルメット、電子機器の生産に支障が出ているとされます。さらに、エンジンについてもSu-57用に新たなジェットエンジンの開発に着手していましたが、それも完成しておらず、量産版には前身のSu-35戦闘機と同じAL-41F1ターボファンエンジンが搭載されています。新しいパワーパックは2025年の搭載を目指しています。ロシア空軍は当初、2024年までに24機の納入を目指していました。しかし、2025年までに14機と下方修正。当初、2027年までに初回発注分76機の全納入を目指していましたが、それはもう絶望的でしょう。
Su-57は現在生産中のSu-35、Su-30SMのラインにとって代わり、生産規模を拡大、海外にも輸出する予定でした。それも難しくなると思われます。
今回、納入された2機の内、1機は直ぐに西側に飛行したとされ、ウクライナ方面、若しくはフィンランド、バルト三国周辺の拠点に配備されたと思われます。
Source
https://militarywatchmagazine.com/article/ruaf-receives-two-new-su57s