ロシア海軍は黒海に沈んだ黒海艦隊の旗艦モスクワを引き揚げるために8隻の船団を海域に送りました。その中にはロシア帝国時代に建造、就役したサルベージ船Kommuna(コムーナ)も含まれます。
mod ukraine4月14日の日本時間の早朝にロシア海軍の旗艦でミサイル巡洋艦モスクワがウクライナの対艦・巡航ミサイル「RK-360MC Neptune(ネプチューン)」で撃沈されたとの速報が入ってきた。最初はブラフと思われた[…]
Russian Black Sea Fleet Prj. 712 sea rescue tug Shakhter (SB-922) alongside the Moskva pic.twitter.com/9LIkERQxLY
— OSINTtechnical (@Osinttechnical) April 18, 2022
ロシア海軍はウクライナの対艦ミサイルの攻撃(ロシア側は火災と言っている)によって4月14日に黒海に沈んだミサイル巡洋艦モスクワを引き揚げるために黒海艦隊8隻からなる救助部隊を編制、船が沈んだとされるセヴァストポリとオデッサから沖合130kmにある海域に向かいました。その主な目的は軍事機密の回収とされます。モスクワには暗号コードなど軍事機密書類や、暗号機といった軍事機器、無傷の巡航ミサイルが残っており、それが西側に渡ることを恐れています。そして、もう一つの目的は船員の遺体の回収です。当初、ロシア国防省は死者はいないと言っていましたが、22日、1人が死亡、27人の乗組員が行方不明、396人が避難したと発表しました。
8隻の救助部隊にはキロ級潜水艦、またウクライナから対艦ミサイルの攻撃を受ける危険もあるので艦隊防空のための船が随伴していると思われます。そして、注目すべきがモスクワを引き揚げるためのサルベージ船コムーナです。この船はなんとロシア帝国(1721-1917)時代に建造、就役した船になります。
ロシア海軍最古の船
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— Минобороны России (@mod_russia) February 6, 2021
コムーナはロシア海軍下で運用される船としては最古の船になり、ロシア帝国時代の船としては唯一の船です。船はVolkhov(ヴァルホフ)という名で1912年11月12日に起工され、1913年11月17日に進水、1915年7月14日にバルト海艦隊に就役。船はサルベージ船、そして潜水母艦として海上で潜水艦への補給や修理を行います。1917年にはオーランド諸島で沈んだAG-15潜水艦を引き揚げ、第一次世界大戦時にはイギリスの潜水艦を引き揚げ、イギリスは謝意を伝えます。その後、ソ連時代の1922年に現在のKommuna(コムーナ)に改名。第二次大戦時には沈んだ多くの残骸を引き揚げています。1967年から今の黒海艦隊の所属になり、潜水艇を運用するための回収が施されました。1977年には水深1700mに墜落した当時の最新鋭機Su-24攻撃機の引き揚げに参加します。最近では2018年に近代化改修を受け、深海潜水艇AS-28を搭載しています。
モスクワが沈んだ海域の水深は最大100mと浅い水域ですが、ロシア海軍は船を全て引き揚げ、回収するつもりはないとされます。なぜなら、全長96m、排水量3,100トンのコムナに対し、モスクワは全長186m、排水量12000トンと大きすぎるためです。そのため軍事機密と遺体の回収のみと推測されています。
また、ウクライナ側は沈んだモスクワを今回の戦争の戦果の象徴として文化遺産として指定しており、モスクワの回収を阻止する可能性があります。
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