ロシア空軍のIL-76、Tu-22、Su-30、Mig-29がドローン攻撃によって破壊される

ここ最近、ロシア国内の飛行場が無人機・ドローンによる攻撃を受け、軍用機が破壊、損傷する事案が多数発生している。29日にはIL-76輸送機4機が損傷するなど大損害を出した。

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19日土曜早朝、ロシア西部ノヴゴロド州のソルツィ空軍基地に駐機してあったTu-22M3戦略爆撃機がドローン攻撃によって破壊された。サンクトペテルブルクとモスクワの間にある同基地はウクライナから800km以上離れた場所にある。[…]

ロシア空軍のTu-22M3戦略爆撃機がドローン攻撃によって破壊される

今月19日にロシア北西部のノヴゴロド州のソルツィ空軍基地がドローン攻撃に合い、2機のTu-22M3戦略爆撃機が破壊されたことをお伝えしたばかりだが、同じような事案がまた発生した。

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最大6機のIl-76が被害に

ロシア国営メディアのタス通信やRIAの報道によれば29日水曜、エストニアとラトビアと国境を接するロシア北西部のプスコフ州のプスコフ空港がドローンによる攻撃を受け、同飛行場に駐機してあったIL-76輸送機が被害を受けた。2機は炎上し、完全に破壊、程度は不明だが、この他、最大2~4機が損傷したと報じられている。無傷だった機体は攻撃を避けるため、同空港を飛び去ったとも伝えられている。この攻撃により、プスコフ州上空の飛行が制限された。

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A-50早期警戒機のベースのロシアのIl-76大型輸送機が圧力試験中に爆発

IL-76はソビエト時代にイリューシン設計局が開発した大型ジェット輸送機。1967年に開発が始まり、1974年からソビエト軍で運用が始まった。改良を重ね、今なお生産は続いている。40tの貨物を搭載して、最大5000kmの距離を飛行。ロシアの軍用機らしく、過酷な環境でも運用できるよう、短く整備されていない滑走路でも離着陸可能で、シベリアといった北極地域でも運用でき、広い国土のロシアの兵站を支える機体だ。2019年に就役した最新のIl-76MD-90Aでは、貨物の搭載能力が48tから60tに増加、燃費効率も向上、航続距離は18%延長されている。ロシア空軍唯一の早期警戒機であるA-50も同機をベースにしている。Il-76MD-90Aは1機あたり8600万ドルとされ、ロシア軍機の中でも最も高価な機体だ。今回、破壊されたのが、どのモデルかは不明。今回の攻撃では、同じく同空港に駐機してあったTu-22M戦略爆撃機も損傷したと報じられている。

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段ボールドローンによって5機の戦闘機が損傷

プスコフが攻撃を受ける数日前の26日にはウクライナ北部と国境を接するクルスク州のクルスク飛行場もドローン攻撃を受け、1機のMig-29、4機のSu-30の計5機の戦闘機が損傷したと報じられている。損傷の程度は不明だ。この他、飛行場を護る筈の防空システムのパーンツィリ-S1、S-300も損傷したとされる。

この攻撃についてはウクライナ保安庁が発表しており、それによれば、攻撃は計16機の段ボール製の低コストドローンによって行われた。これはオーストラリアから供与されている「コルボPPDS」と推察される。コルボPPDSは機体フレームが全て段ボールでできており、工具とテープ、接着剤を使ってどこでも組み立てができる。一見、陳腐に見えるが最大飛距離120km、行動半径は60km、自律飛行が可能でGPS誘導はもちろん、GPS妨害を受けても飛行できるよう、飛行用ソフトウェアが搭載されており、速度と方向からおおよその飛行位置を特定して飛行できる。しかも、価格は1機あたり僅か3000ドル、日本円で45万円程。これで数十億円の戦闘機を損傷させたのだから、超コスパのよい攻撃だ。段ボール製ということもありステルス性も高く、撃墜されたのは16機中僅か3機のみと発表されている。オーストラリアはこれを毎月100機ベースでウクライナに供与している。

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ウクライナ軍が使う段ボール製ドローン「コルボPPDS」

8月に入りウクライナ空爆の拠点となるロシア国内の飛行場がドローンによる攻撃を頻繁に受けている。これまでは攻撃対象はウクライナ国境から近いところが主だったがロシア空軍は攻撃を避けるため、拠点を後方に下げていた。

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ロシア空軍のIL-76、Tu-22、Su-30、Mig-29がドローン攻撃によって破壊される
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