ウクライナ軍のトルコ製ドローン「バイラクタルTB2」がロシア軍の車列を攻撃する映像が複数公開され、バイラクタルTB2の歌も作られなどして、その活躍が報じられているが、ロシア軍も対抗すべく、国産の偵察攻撃ドローン「Orion-E」を投入し、その最初の戦果の映像を公開した。
ロシア国防省の発表によれば、映像はウクライナ東部のドネツクに展開しているロシア宇宙航空軍に所属するドローンで、同地域に展開していたウクライナ軍第24独立部隊イダール大隊の指揮・観測所を破壊した時の様子になる。
Orion-E
Orion-EはロシアのKronshtadt Group(クロンシュタットグループ)が開発製造する無人航空機(UAV)。2016年に初飛行し、2018年からロシア軍の無人偵察攻撃機として実戦参加しているとされる。見た目は米空軍が運用するMQ-9リーパーに似ているが、サイズ的には一回り小さい中型ドローンになる。ロシアが介入するシリア紛争に導入されており、シリアで少なくとも37回の任務を遂行し、19回の空爆と18回の偵察飛行をこなしており、運用実績ベースではトルコのバイラクタルTB2に引けを取らない。
スペック
攻撃および偵察を目的にしたUAVになり、24時間連続飛行が可能。巡航速度120km/h、飛行高度7500mと低速で高高度を飛行できる。250Km離れた場所から遠隔操作でき、今後は衛星通信にも対応予定で、今後、その操作範囲は拡大される予定。
光学電子・赤外線カメラ、武装には9M113 Kornet対戦車誘導ミサイル、KAB‐20/50レーザー誘導爆弾、UPAB-50滑空誘導爆弾、およびX-50誘導ミサイルなどを搭載でき、ペイロードは200kgになる。2021年に12月にはKornet対戦車誘導ミサイルで他のUAVの撃墜に成功しており、低速のドローン同士であれば空対空の戦闘能力があることを証明した。
今後、無人機を多数投入するかもしれない
Orion-Eは2022年から海外に輸出される予定になっており、工場を新設するなど量産を予定している。ロシア軍が現在、Orion-Eをどれだけ保有しているかは不明だが、これが大量に投入されるとなるとウクライナ軍は厳しい。ロシアは軍事ドローンの先進国だが、ウクライナではこれまで目立った運用の様子が見受けられないのが不思議だった。それに対し、ウクライナの発表によれば、これまでロシア軍機50機以上が撃墜されており、多くのパイロットを失っている。Orion-Eの動画を公開したことで、有人機に比べ撃墜されて損失が少ない無人機戦略に切り替える可能性は高いと思われる。
Photo Baykar一時はロシア軍に握られたと思った制空権だが、ウクライナの防空システム、空軍は未だ健在であり、どうやら制空権は完全には握られてはいなく、地域によってウクライナ軍が掌握しているようだ。それを示すようにウクライナ[…]
Source
https://kronshtadt.ru/assets/files/productfiles/Orion_eng.pdf