ロシア軍、3機しかないベリエフBe-200水陸両用機を失う

ウクライナ軍が4月5日にロシアのエイスク飛行場に対して行った無人機攻撃でロシア海軍軍に3機しかない、希少なBe-200水陸両用機に損害を与えていた事がわかりました。

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ウクライナ国防省の発表によれば4月5日、ウクライナ国防情報総局が軍用飛行場があるロシアの三都市に数十機の自爆ドローンによる一斉飽和攻撃を実施しました。対象となったのは前線から160km程離れた南部クラスノダール地方エイスク、320kmほど離れた西部クルスク州、640kmほど離れたサラトフ州にある航空基地です。ロシア国防省は50機以上のドローンを撃墜したと述べていますが、ウクライナから最も近いエイスクの損害は大きく、この攻撃によって、飛行場に駐機してあったロシア軍の機体7機が損傷したとウクライナ側は発表しています。内訳はSu-30SM戦闘爆撃機4機、輸送機2機、そして、Be-200水陸両用機1機が損傷しました。この他、飛行場のディーゼル変電所も破壊されています。

注目すべきはBe-200水陸両用機の損害になり、同機の被害が確認されたのは今回の戦争では初めてです。そもそも、今回の戦争で同機の名前を聞くのも初めてです。なぜ、名前が出てこなかったのかと言うと、同機はロシア軍に3機しか配備されていない希少な機体だからです。

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Be-200

Be-200は、老朽化したBe-12水陸両用機の後継機として、ベリエフ設計局が1998年に開発、イルクーツク航空工場で製造されたロシアの水陸両用航空機(飛行艇)です。飛行艇というとプロペラ式が多いですが、Be-200はジェット推進式の飛行艇になります。同機は消火、捜索救助、海上パトロール、貨物、旅客輸送用に設計されており、貨物積載量7500kg、空中消火の際は最大12,000リットルの水を搭載でき、旅客としては最大72名が乗員できます。最高速度は700km/h、巡航速度560km/h、最大航続距離は3300kmです。 

同機は最初、ロシア非常事態省に消防飛行艇として採用され、量産化が始まった2003年に最初の機体が納入されます。その後、2011年までに計8機が製造され、一機はアゼルバイジャンの非常事態省に納入されています。その後、アルジェリアにも納入されています。Be-200は飛行艇としての評価は高く、国際航空ショーでの評判も上々でアメリカの民間水上飛行機航空会社Seaplane Global Air Servicesも4機の発注をするなど、メーカーは320機の潜在的需要があると見越していました。

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しかし、エンジンがウクライナ製だったこともあり、2014年のクリミア併合以降、エンジン供給がストップ。ロシアは国内生産に踏み切るもパーツの多くに西側製部品を使用、それらは経済制裁のため入手が難しくなり、量産スピードは大幅に落ち込むことになります。2010年から2020年にかけて10機の量産化モデルが製造されていますが、結局、320機の需要見込みに対し、これまで生産された機体は19機のみになります。アメリカ企業への納入もされず、2023年に海外向けの生産はストップしています。

ロシア国防省は海軍航空向けに3機のBe-200を発注しており、2020年から就役しています。今回、ウクライナ軍の攻撃によって損傷したのはこの3機の内の1機です。損傷は衛星画像でも確認されており、左翼が破損し、燃料漏れが起きているBe-200が確認されています。修理可能なような損傷に見えますが、2024年3月8日から3月9日にかけてBe-200の修理を行う。タガンログ・ベリエフ製造施設がウクライナの無人機攻撃をうけ損傷しています。同施設はBe-200同様希少で、より戦略上重要なロシア空軍のA-50早期警戒管制機の修理も行う重要な施設でした。

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