シンガポール陸軍は歩兵用の新しい分隊支援火器としてアメリカのColt社の歩兵自動火器「IAR 6940」を採用しました。
シンガポール陸軍は1982年から分隊支援火器として同国のCIS(現在のSTエンジニアリング)が開発した軽機関銃「Ultimax 100」を使用していましたが、採用から40年以上が経過し、性能が陳腐化。新しい分隊支援火器を探していました。そして、数か月に及ぶ軍での試験と評価を行った結果、アメリカの銃器メーカーColt社が開発製造する歩兵自動火器”Infantry Automatic Rifle 6940”こと「IAR 6940」の調達を決定します。シンガポール国防省は他の候補を明らかにしていませんが、STエンジニアリングはUltimax 100のアップデート版を売り込んでいたとされ、また、米海兵隊が分隊支援火器として採用するヘッケラー&コッホ社のM27 IARも候補に上がっていたされています。
Colt IAR 6940とは
IAR 6940はColt社の代表作で、西側小銃のベースとなったベストセラーM16/M4シリーズのライフルをベースに開発された5.56×45mmの自動小銃で、いくつかのコンポーネントはM16/M4と共通化されています。特許取得済みのモノリシックアッパーレシーバーが含まれており、ハンドガードの四方はMIL-STD-1913ピカティニーレールが備えられています。IAR 6940の特徴は銃身に取り付けられた独自のヒートシンク・システムになり、長時間の発砲時におけるクックオフ(過熱)のリスクを大幅に低減しています。また、ヒートシンクは既存の自動小銃設計よりも長い銃身寿命を提供します。両手利きのアンビシステムを採用しており、セレクターのセーフモードまたはファイアモードでポジティブなタッチ&フィールを提供します。
分隊支援火器というと、軽機関銃を想像しますがIAR 6940は米海兵隊の分隊支援火器「M27 IAR」と同様に見た目は歩兵が携行する自動小銃と変わりありません。昨今の新しい分隊支援火器の傾向として、消費弾薬の減少、軽機関銃は重く、その上、目立ち狙われやすいことから、他の小銃と見分けがつかない小銃型支援火器IAR(Infantry Automatic Rifle:歩兵自動火器)が主流になりつつ、M27 IARに対抗する形で開発設計されたライフルです。
Colt社はM4/M16の調達を米軍から打ち切られて以降、業績が振るわず、2021年にはチェコのCZ(チェスカー・ズブロヨフカ・ウヘルスキブロッド)に買収され、傘下に入っていました。今回、M27 IARと競合の末、契約を勝ち取ったすれば、今後、IAR 6940の評価は上がるでしょう。CZの下、再出発したColt社の復活となるでしょうか。
2021 by Colt's Manufacturing Company, LLCチェコのCZ(チェスカー・ズブロヨフカ・ウヘルスキブロッド)社が米国の銃器メーカーの老舗Colt’s Holdings(コルト・ホールディングス)を[…]