MH-47Gは、ボーイング社が開発製造する大型マルチロールヘリコプターCH-47チヌークを特殊作戦仕様に改修したバリアントです。2014年9月に米陸軍特殊作戦航空司令部(USASOC)に納入、第160特殊作戦航空部隊「ナイトストーカーズ」に配備されています。
MH-47Gの主な任務は特殊部隊の作戦地域までの輸送と回収、及び弾薬、小型車両、装備、燃料、補給品の輸送にロープで偵察ボートを吊り下げて運ぶスリングロードオペレーションと呼ばれる重量物輸送ミッション。その他、災害支援や民間人の救出など人道支援ミッションでも使用されます。MH-47Gは昼夜関係なく、悪天候下、低高度、長距離任務とあらゆる状況下で任務を遂行することができます。
MH-47Gの特徴・スペック
MH-47 Gの胴体は全長15.9m、幅4.8m。最大総重量は24,494 kgで、11,340 kgの荷重を運搬することができる大型ヘリです。機体の色は夜間の特殊作戦用に目立たない黒い塗装が施され夜間飛行可能な暗視装置を標準装備しています。搭乗員はパイロット2人とチーフクルーまたはドアガンナーの3人を含む、5人のクルーが乗車します。
MH-47Gは通常のCH-47チヌークの二倍の容量の長距離燃料タンクを擁し、且つ空中空輸機から空中で燃料を補給するための延長可能な燃料補給プローブが組み込まれ、長距離・長時間の任務を可能にします。特殊部隊向けにパラシュート降下、高速ロープ挿入抽出システム (FRIES) 、エクストラクションロープ (SPIES) 、ロープ梯子、電動ワイヤーロープホイストといった特殊操作装置を装備することもできます。
コックピットとアビオニクス
MH-47Gには、完全に統合されたデジタルコックピット管理システムが搭載されています。暗視装置対応のデジタルコックピットには、5台の液晶多機能ディスプレイ (MFD) と2台のコントロールディスプレイユニット (CDU) が搭載されています。このコックピットの統合デジタル共通アビオニクスアーキテクチャシステム (CAAS) は最先端の米軍ヘリコプターシステムの1つです。前方赤外線 (FLIR)の電気光学カメラ、マルチモードレーダーとナビゲーションシステムを統合し、悪天候下、視界不良時でも低高度飛行を可能にし、レーダーによる探知を避けます。その他、デジタル移動地図ディスプレイ、デュアルデジタルデータバス、ハンドオフ自動目標システム、GPS受信機、低周波自動方向探知機も搭載されています。
武装と防衛システム
胴体の両側前方と後方にドアガン用の窓/発射ポートがあり、M134 7.62mmミニガン、M240D 7.62mm機関銃の各二門が備え付けられます。防衛システムにはミサイル警報システム (CMWS) 、統合無線周波数対策、レーザー警報システム、赤外線誘導ミサイルから防ぐXM 216ダークフレアが搭載されいます。また前方後方に二基搭載されたエンジン 「ハネウェルT 55-GA-714 A」 には赤外線 (IR) 排気サプレッサが装備されており、IR検知(赤外線検知)を低下させています。
MH-47G BlockII
2020年に導入されたMH-47G BlockIIは、MH-47Gのアップグレードモデルです。機体全体のパフォーマンス、効率、および共通性を向上させる新しい軽量燃料ポッドを備えています。
MH-47Gは2060年まで運用を予定しています。