スウェーデンとフィンランド。北欧の隣国同士の二カ国は軍の新しい主力小銃を共同で調達することを検討していることをスウェーデン国防省が発表した。
主力小銃Ak5に代わる新しい小銃の検討を発表
スウェーデン国防省は5月3日に装甲車両BvS10を200輌を調達することを発表したのが、そのリリースの最後にさらっと今年9月に現在の主力小銃であるAK5に代わる新しい銃器ファミリー(小銃、スナイパーライフル)の調達を開始することが記載され、更に、そこにはフィンランドと共同で調達する可能性を検討するとも付け加えられていた。
口径が異なる両国の銃
隣国同士で両国ともに福祉国家として有名で文化も似ており、共通点が多い両国だが、主力小銃を共同調達にするには大きな懸念がある。それが、口径の違いだ。
スウェーデン軍の主力小銃Ak5
Ak5はベルギーのFNハースタル社が開発したFN FNCをスウェーデンのボフォース社がライセンスを取得し、スウェーデンの気候に合わせて改良されたライフルで1986年から運用が始まっている。モスグリーンにカラーリングさられているのが特徴だ。口径はNATO基準の5.56x45mmになる。Ak5は配備から既に30年以上経過しており、更新が迫っている。
フィンランド軍の主力小銃Rk62とRk95
Rk62(ヴァルメ62)とその近代化モデルのRk95はフィンランドのSAKO(サコ)社が開発したライフルになり、Rk62は1962年からRk95は1995年から運用が始まっている。Rk62は旧ソ連のAK-47をベースに開発されたライフルで口径は同じ7.62x39mmなる。Rk95は1995年とそこまで古くは無いが兵力30万人に対して2万挺してか生産配備されおらず、ほとんどがRk62を使用しており、こちらも更新が迫っている。
どっちの口径を採用する?
スウェーデン、フィンランドは共に中立政策をとっており、以外にも北大西洋条約機構(NATO)に加盟していない。しかし、アフガニスタンに有志連合の一員として派兵したりするなど、近年、NATOと接近している。また共にロシアの脅威に晒されていた両国はクリミア併合やウクライナへの関与といったロシアの最近の行動に強い懸念を示しており、小国の両国は集団安全保障に強い関心を抱いている。その点を考慮し、今後を見据えるとNATO標準口径である5.56x45mmが有力とされている。しかし、北欧という雪や森林地帯が多い地形を考えるとより威力と貫通力が高く、同じくNATO標準口径の7.62x51mmもあるかもしれない。どちらにせよ、ロシア側の7.62x39mm弾を使うことはないと考える。しかし、長年ソ連・ロシアの脅威に晒されているフィンランドにはかなりの量の7.62x39mm弾の備蓄があるとされ、これは簡単に廃棄はできない。そのためどうか分からないが、最近、フィンランド国立訓練防衛協会は予備役ように7.62x39mm弾を使用する韓国DasanMachineries(ダサン・マシーナリィ)製のAKMを調達している。
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では、採用するライフルはなになるのかというと、両国が関心が持っていると思われているのがヘッケラー&コッホ社のHK416、HK417、HK433。そして、FN社のSCAR-LとSCAR-Hだ。HK416は隣国ノルウェーで主力小銃として採用されており、同じ環境下での運用実績がある。HK433はモジュラー式でバレル交換で5.56、7.62両方が使えるのは魅力だが、まだ実績は乏しい。SCARは両国の特殊部隊で運用実績がある。できればボフォースとサコで新しいライフルの開発に期待したいところではあるが、最近はどの国も国産に拘らず、優れた海外製を採用する傾向にある。9月にはこれらは明るみになるだろう。
Source
https://www.forsvarsmakten.se/sv/aktuellt/2021/05/forsvarsmakten-far-200-nya-bandvagnar/
https://www.thefirearmblog.com/blog/2021/05/04/sweden-finland-service-rifle-together/