MP7の4.6x30mm弾もNATO標準弾になっていました

MP7の4.6x30mm弾もNATO標準弾になっていました
Photo by Heckler & Koch

P90などに使われる5.7x28mm弾がNATO標準弾になったことを昨日、お伝えしましたが、P90のライバルとなるMP7で使用されているドイツのHeckler & Koch(ヘッケラー&コッホ:HK)社が開発した4.6×30mm弾も同じタイミングでNATO標準になっていたことが明らかになりました。

5.7x28mmが標準弾になったことは5.7x28mmを開発したFNハースタルが25日に自社サイトで公表しましたが、4.6×30mm弾に関してはHKをはじめ特に発表はありません。しかし、NATOのMulti-Caliber Manual Of Proof and Inspection (AEP-97) のリリースを見ると標準弾の欄には5.7×28mm弾(STANAG 4509)と合わせて4.6×30mm弾(STANAG 4820)も記載されており、4.6×30mm弾もNATO標準弾に採用されたことが分かりました。5.7×28mm弾と4.6×30mm弾の追加は2020年12月4日に締結されていたようです。

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いざこざがあった4.6×30mm弾と5.7×28mm弾

4.6×30mm弾は5.7×28mm弾に対抗する形でHK社が1990年代に開発しました。ボディアーマーへの貫通力を高めながら、重量と反動を最小限に抑えるように設計されています。2000年にHKProが実施した試験では、4.6×30 mm弾はFN P90から発射された5.7×28 mm弾よりもわずかに多くのエネルギーを伝達するという結果を得ます。しかし、イギリスとフランスでNATOが実施した試験では、5.7×28mm弾の方が若干優れていることが示されます。フランス、米国、カナダ、イギリスの専門家からなるグループがNATOの実験結果を分析したところ、5.7×28 mmの方が疑いなく、より効率的な弾薬であるという結論に達します。また、5.7×28mmの方が設計および製造プロセスにおいてアサルトライフルの標準弾5.56×45mm弾に近く、既存の生産ラインで製造できること、10年近く先に登場した5.7×28mmの方が兵器として確立、成熟している点が指摘されます。

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結果、NATOは5.7×28mmを標準化するという決断を下しますが、HK社の本社があるドイツが猛反対。その結果、標準化プロセスは無期限に中断されていました。もし、その時、ドイツが反対していなければ、5.7×28mm弾はとっくにNATO標準弾になっており、4.6×30mm弾は日陰に追いやられていたかもしれません。

今回の追加は4.6×30mm弾、5.7×28mm弾双方をNATO標準弾に採用する事で解決を図ったものと思われます。どちらにせよ、標準化されたことで、今後、この2つの口径・弾薬の銃は増えることになると思われます。ここまで微妙だったPDWというカテゴリーが今後、明確に確立されるのでしょうか。

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MP7の4.6x30mm弾もNATO標準弾になっていました
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