アメリカの軍事企業レイセオングループのインテリジェンス&スペースは同グループBBN、米国防省の国防高等研究計画局DARPAと共に一人で130機のドローンを同時に制御できるドローンシステムを開発し、テストに成功したことを1月10日発表しました。
OFFSETプログラム
これは「攻撃型スウォーム・イネーブルド・タクティクス (OFFensive Swarm-Enabled Tactics:OFFSET)」と呼ばれる DARPAプログラムになり、最近、5回目の実地演習を行いました。RaytheonのBBN率いるチームによって開発された統合スウォーム技術を用いて一人のオペレータが都市環境の屋内と屋外の両方で130機の物理的ドローンと30機の仮想ドローンからそれぞれ構成されたスウォーム(群れ)の制御を成功裏に収めます。
この成功により、少数または一人という最小限のオペレータグループで複数の自立型ドローンを制御することが可能になり、自律的な無人航空機(UAS)および無人地上車両(UAV)の大規模な編隊の行動を指示・管理することが可能になります。また、これらを実行する上で高度なドローンは必要ありません。BBNが設計したスウォーム用のスケーラブルでモジュール式の分散型アプローチのネットワークリンクによって、市販のハードウェアとソフトウェアによって実現されています。
「ドローンスウォームを制御することで、オペレーターやオペレーターグループのドローンに対する考え方が変わります。この演習から得られる情報は、ユーティリティと管理性の転換点を知るのに役立ちます。」 と、Raytheon BBN OFFSET主任研究員のShane Clark氏は述べています。
ドローンの運用方法が変わる
これまでドローンの操作はオペレーターと1対1であり、一つの任務に対して1機というのが通常で、ドローンで監視できる範囲は限定されていました。複数同時に操作できれば、建物を四方八方から囲んで死角なしに監視することができます。また取り囲んだドローンのカメラから送られてくる情報をもとにインタラクティブな仮想現実 (VR) インターフェースを作成し、建物を360度から確認して突入ミッションの入り口を検討するというこも可能です。
ドローンの制御に特殊な技能は必要なく、最小限のトレーニングで対応でき、音声インターフェースによって制御する音声コマンドにも対応しており、オペレーターの発する声により、より直感的な操作が可能になっています。それはまるで『機動戦士ガンダム』のファンネルのようです。ファンネルは脳波でコントロールするという設定ですが、脳波による機器の制御の研究も進んでおり、近い将来、実際のファンネルのように複数のドローンが操作できるようになるかもしれません。