2023年が明けた。2022年はロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界の安全保障は大きく様変わりし、日本を始め多くの国が防衛力の強化、友好国との同盟関係を強化しており、今年も軍事界隈では大きな地殻変動が起きることが予測される。その中でも今年の大きなトピックスがアメリカ軍の新しい主力小銃であるM5カービンとM250 SAW(分地支援火器)の配備開始だ。長らく、米軍、NATO、自衛隊を始めとした西側陣営はNATO基準の5.56×45mmを小銃の標準口径を使用してきた。だが、この口径を標準化したアメリカが昨年、6.8x51mm口径の次世代主力銃を採用することを決定した。そして、それがいよいよ今年から配備開始される。
M5、M250とは
M5カービン、M250 SAWは現在、米軍の主力小銃として配備されているM4カービンライフル、分隊支援火器・軽機関銃であるM249(MINIMI)に代わる次世代分隊火器(NGSW)。2019年から約3年かけて評価され、三陣営の競合の末、2022年4月にSig Sauer社が開発する銃の採用が決定した。新しい銃は口径6.8×51mm弾になり、これまでの5.56×45mm弾と比べ、長射程、より速く、より正確になり、高い殺傷性を得ることになる。M5とM250にはSheltered Wings Inc.とVortex Optics社製の新しい光学照準システム「M157 Fire Control」、発砲音、マズルフラッシュを低減するSIG Sauer SLX サプレッサーが搭載される。
アメリカ軍は19日、検討を進めていた次世代分隊火器NGSW(XM5ライフルとXM250自動ライフル)の製造と納入について、Sig Sauerと10年間の固定価格の追加生産契約を授与をしたことを発表。2019年から3社で行われた最終[…]
前線部隊から配備
M5、M250、M157は2023年初頭から配備が始まるとされ、間もなく運用が始まる予定だ。まずは前線の部隊から優先的に配備されるとされ、部隊名は明かされていないが、陸軍の歩兵、偵察兵、戦闘工兵からなる近接戦闘部隊(close combat force)の一部に配備される予定だ。その後、特殊部隊であるUSSOCOM、海兵隊の一部に配備されるのではと推測されている。全ての部隊に行き渡るのは10年以上かかるとされ、少なくとも今後10年はまだM4とM249は運用される見込みだ。6.8mmの配備が始まることでアメリカの同盟国が今後、同口径と同じ銃の採用を検討、また各メーカーが開発するのかが注目される。