今年、初飛行から節目となる〇十周年を迎える戦闘機が3つもあります。その3つの戦闘機を紹介します。
F-16ファイティング・ファルコン
今年、初飛行から何と半世紀となる50周年を迎えるのがF-16ファイティング・ファルコンです。まだ、現役バリバリで最前線で運用されるF-16が既に半世紀経つというのが驚きです。 F-16はアメリカのジェネラル・ダイナミクスによって1970年代に開発、1978年に運用が始まった冷戦期の第4世代多用途戦闘機です。これまで延べ4,500機以上が製造され、20カ国以上で採用された、ベストセラー戦闘機になります。
初飛行をしたのは1974年2月2日です。しかし、実は非公式ながら、その前に初飛行してしまったというエピソードがあります。同年1月20日、試作機のYF-16がカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で高速地上走行テストを実施していました。テストでは250kmまで加速した後に、停止する予定でしたが、機体が浮上、バランスを崩したこともあり、パイロットは停止するのも危険として飛び立ち、約6分間の初飛行を行います。ただ、飛行試験ではなかったため、初飛行として記録はされませんでした。
あれから50年が経つ今も世界で約2000機が運用されており、機体別としては世界最大の数です。しかし、第5世代ステルス戦闘機の配備が進んだことでF-16は徐々に減っています。それでも、F-16は近代化改修を行い、耐用年数の延長とバージョンアップを行い、前線機としての地位を維持、最近もスロバキアに最新のBlock70が配備、トルコも調達を決定しています。2018年に米空軍ライフサイクル管理センターが2050年までF-16を飛ばし続けることを公言しており、まだ30年近く運用される予定です。
ユーロファイタータイフーン
今年、初飛行から30周年を迎えるのがユーロファイタータイフーンです。同機はイギリス、ドイツ、スペイン、イタリアの4か国の共同開発になり、コングマリットのユーロファイター社によって1980~90年代にかけて開発、2003年から運用が始まった第4世代多用途戦闘機です。ユーロファイターの試作初号機「DA1」は、1994年3月27日にドイツ・マンヒングのDASA基地で初飛行を行いました。初飛行時、搭載予定だった新エンジンEJ200が完成していなかった為、配備中であったトーネード戦闘攻撃機のロールス・ロイス製RB199エンジンを2基搭載して初飛行は行われました。EJ200を搭載しての初飛行は3機目の試作機「DA3」からです。
あれから30周年、主な運用国は開発国の4か国ですが、中東の湾岸諸国に積極的に営業をかけた結果、サウジアラビアが70機ほどを所有。その他、クウェート、オマーン、カタールなどが導入、これまで9か国が680機を発注し、そのうち603機が納入されました。総耐用時間は85万時間を超えています。ユーロファイターは機動性が高く、格闘戦闘力はF-22に次ぐ性能を持っているとされ、さらにレーダー断面積が小さく、ステルス機に近い特性を持つこともあり、4.5世代戦闘機とも言われており、まだ、人気が高い機体です。
トーネード
F-16と同様、今年で半世紀となる50周年を迎えるのがトーネード戦闘攻撃機です。同機はイギリス、西ドイツ、イタリアの3か国の共同開発になり、1970年代に開発、1979年から運用が始まりました。可変翼タイプの戦闘攻撃機で、述べ、992機が生産されました。試作機は3か国で生産されましたが、西ドイツ機が、1974年8月17日に初飛行を行っています。ドイツ空軍とエアバス社は50周年を記念して、試作機時、各年代の塗装を織り交ぜた特別塗装のトーネードを公開、航空ショーで展示飛行する予定です。
同じ年に初飛行を行ったF-16と違い、トーネードは後数年で役目を終えるかもしれません。イギリスは2019年にトーネードを全機退役させており、ドイツとイタリアも2025年までに同機を全機退役させる事を決定しています。
トーネードはマルチロール機として航空阻止、要撃、近接航空支援、偵察などいくつかのタイプが開発されましたが、その後継として開発されたのが多用途戦闘機のユーロファイタータイフーンです。また、イギリス、ドイツ、イタリアは共に第5世代ステルス戦闘機のF-35Aを導入、または導入予定であり、トーネードが担ってきた任務は今後、ユーロファイターとF-35Aが担います。残す運用国はサウジアラビアのみになります。1980年代から90年代にかけて120機を調達しています。退役計画は今のところありませんが、サウジもユーロファイターの採用国であり、現在、追加調達を検討しています。