トルコ海軍と同国の無人機開発会社Baykar社はバイラクタルTB3無人機がTCGアナドル強襲揚陸艦からの離発着に成功した事を発表した。TCGアナドルは無人機空母化に向けた重要なマイルストーンを達成した。
Sevdamızın peşini hiç bırakmadık… 🇹🇷✈️
— Selçuk Bayraktar (@Selcuk) November 20, 2024
We never stopped chasing what we love… 🇹🇷✈️#BayraktarTB3 ✈️ TCG-ANADOLU ⚓️ pic.twitter.com/J6iOAmuFNc
2024年11月19日、トルコ海軍とBaykar社は海上でTCGアナドル強襲揚陸艦にBaykar社が開発生産するバイラクタルTB3無人機を発着艦させるテストを実施。バイラクタルTB3は海上で行われた試験中にアナドルの12度傾斜のスキージャンプ式の全通甲板から離陸に成功させると、エーゲ海と地中海の合流点で46分間の試験飛行を実施。その後、アナドルに着陸支援装置なしで着艦を成功させた。空母での無人機の離発着は米海軍や英海軍も成功させているが、アナドルのような強襲揚陸艦の短甲板艦での無人機の離発着は同艦が史上初となる。
TCGアナドル強襲揚陸艦
TCGアナドルは2023年4月に就役したばかりの新鋭艦で全長231m、幅32m、排水量27,436トンはトルコ海軍最大の艦船となる。最高速度は約21ノット(39km)、航続距離は16,600km、50日間連続の航海が可能。アナドルは分類的には強襲揚陸艦だが、軽空母としての運用も想定している。強襲揚陸艦としては戦車13両、装甲強襲揚陸車27両、装甲兵員輸送車6両、その他の車両33台、トラック15両台を含む合計94両の軍用車両を搭載、1223人が乗員することができる。
軽空母として利用する場合は12機の有人または無人の戦闘機、21機のヘリコプター、または無人機の計33機が搭載可能で、9200平方メートルの飛行甲板には同時にヘリコプター10機または武装ドローン11機を展開、格納庫には最大、ヘリコプター19機、若しくは武装ドローン30機程度が搭載可能。今回、バイラクタルTB3の離発着を成功させた事で空母化に向けた重要なマイルストーンを達成した形だ。TB3の他、アナドルには現在開発中の有人の国産軽攻撃機ヒュルジェット(Hürjet)、無人ジェット戦闘機のクズルエルマ(KIZILELMA)の搭載も予定している。アナドルには本来、F-35のSTOVLタイプ(短距離離陸・垂直着陸)F-35Bステルス戦闘機の搭載を予定していたが、ロシアのS-400防空ミサイル購入による制裁でアメリカからF-35プロジェクトから外されており、購入ができていない。
バイラクタルTB3
Adım adım TCG-ANADOLU'ya,
— Selçuk Bayraktar (@Selcuk) June 1, 2024
Oradan da eşsiz maviliklere…🌊#BayraktarTB3 46. Test Uçuşu | 46th Flight Test ✈️ ⚓️🚀
✅ Rampa Kalkış Testi | Ski-Jump Test #MilliTeknolojiHamlesi 🌍🇹🇷 pic.twitter.com/83lVciUVwm
バイラクタルTB3はBaykar社が世界に誇る無人機バイラクタルTB2の艦載機仕様で高度なエンジニアリングと海洋適性、艦載機能力を併せ持つ無人機。狭い格納庫、飛行甲板で場所をとらないように翼が折り畳み式になり、飛行甲板の短い滑走路からでも離陸できるよう短距離離着陸型になっている。全長8.35m、全高2.6m、翼幅14m 、最大離陸重量1451kgを達成しながら、ペイロード281kgを維持。これはTB2の倍だ。またTB2ではオプションだった衛星データリンクは広い海洋での運用を想定し、標準機能になっており、運用範囲は1000海里(1852km)と地平線を超えた遠隔操作が可能。24時間の連続飛行で広い洋上を広範囲に渡ってISR(情報・監視・偵察)活動を行える。 無人航空機としての性能も全体的に上がっており、最大巡航速度はTB2の130km/hから、296km/hに大幅に増加している。
バイラクタルTB3の発着艦成功により、トルコも空母保有国に仲間入りした事になる。