スウェーデンのサーブ(Saab)社のプレスリリースによると同社が開発する84mmカールグスタフ無反動砲の最新モデルであるM3E1(M4)を購入する契約を米軍が交わしました。契約額は8700万ドルとなり、7年間に渡って供給されます。契約形態は数量未確定契約です。最初のバッチは2021年に納入されます。米陸軍、海兵隊、特殊作戦司令部に配備される予定です。
カールグスタフ無反動は1946年にスウェーデン軍王立陸軍兵器局にて開発が始まった歩兵携帯砲で、今の形のベースとなっているのが1964年に登場するカールグスタフM2になります。歩兵が携帯できる対戦車砲として米軍、自衛隊を始め、世界各国に採用されています。
カールグスタフ無反動砲M3E1とは
M3E1は1990年代初めに登場したM3を改良したもので、2017年に陸軍のテストによって承認されました。当初はM4と呼ばれていましたがM3E1と名に改められています。陸軍ではかつて、同じサーブ社のAT4携行対戦車弾を多用していましたが、一発のみの使い捨て、射程300mとその火力に疑問を抱き2011年から徐々に再利用可能、最大射程1000mのM3に切り替えていました。
M3E1はM3よりも軽量で、人間工学に優れた設計になっています。M3と比べ全長は短くなり、1mを切ります。重量はM3から28%削減され、6.7kgしかありません。これはAT4よりも軽く、ジャベリン(22kg)とは比較になりません。これにより兵士は俊敏性を保ち、状況に素早く対応できます。プログラム可能な照準システムにピカティニーレールが追加され、多様なオプション器機を装着することも可能です。
米国のサーブ社の社長兼CEOであるエリックスミスは以下のように述べています。
「M3E1は現在の戦闘のニーズを満たすように最適化されています。この軽量で効果的な無反動砲は、遮蔽弾、対構造物、対装甲などの多種多様な弾薬を使用して、現代の戦場での即応性を確保します。」