米特殊作戦軍(USSOCOM)は試験運用中だった乾式戦闘潜水艦(DCS)の初期作戦能力(IOC)を宣言したと発表した。
生産元のロッキード・マーティン社の7月24日の発表によれば、米国特殊作戦軍(USSOCOM)は先月、同社が開発生産した乾式戦闘潜水艦(DCS)の初期運用能力を宣言した。このマイルストーンは、海事および海中システムにおけるUSSOCOM特殊部隊の変革的な能力取得を表している。ロッキード・マーティン社のC6ISR副社長兼ゼネラル・マネージャーのグレッグ・バウアーは、 「DCSは特殊部隊のための海中戦を変革する可能性を秘めている」 と語り、「DCSは、完全に乾燥した環境の中で、長距離にわたる安全で隠密の移送を乗員に提供し、ロックインチャンバーとロックアウトチャンバーを備えています。乗員は暖かい環境で休息し、水分を補給し、準備ができた状態で作戦領域に到着する。この船はミッション成功の鍵となる利点となる。」 と述べた。一番艦は2020年4月にはSOCOMに引き渡されていたが、艦内が密閉空間であるため、新型コロナの影響で試験が遅れてた。
乾式戦闘潜水艦(DCS)とは
DCSは「ドライ・コンバット・サブマースィブル(Dry Combat Submersible)」の略になり、日本語でいうと「乾式戦闘潜水艦」となる。乾式(ドライ)というのは、用は濡れていないという意味で内部が濡れていない密閉された潜水艦ということを指す。現在、特殊部隊が使用する小型潜水艇は「SEAL輸送潜水艇(SEAL Delivery Vehicle)」、通称SDVと呼ばれるもので、潜水艦にドッキングでき、海中から特殊部隊を秘密裏に海上、海岸に送り届ける事ができる乗り物なのだが、いくつか欠点がある。潜水艇の内部は気密状態ではないため、隊員はスキューバ装備を着用しなければならないのと、潜水時間に応じた酸素が必要になる。そして、もう一つ大きな欠点が、体が海中に浸かるため、冬や寒冷地では長時間の潜水が出来ず、体が冷えることで身体に悪影響を与え、身体機能が十分に機能せず、ミッションに支障をきたす恐れがある。そこで開発されたのがDCSになる。DCSの内部を完全に密閉する小型潜水艦で搭乗する隊員たちは目的地近くまで海水に浸かることはない。その状態で目的地近くまで移動できるので、スキューバ装備無し、若しくは最小限の装備に抑える事できる。また、寒冷地でも隊員の体温が海水で奪われることも無いので、パフォーマンスに支障をきたすこともない。
現在、3番艦までがSOCOMに納入されており、初期作戦能力を得たことで一部の部隊で配備が始まると思われる。おそらく、DEVGRUからSEALSのどこかだろう。
[adcode]© 2018 Submergence Group / MSUBS Ltd.ネイビーシールズや特殊部隊を扱った映画やゲームで隊員が小型潜水艇に乗って、海中から秘密裏に敵領内に潜入する光景を見た事あると思う。潜[…]
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