ウクライナ軍、無人機専門の軍を新たに創設

ウクライナ軍、無人機専門の軍を新たに創設
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ウクライナのゼレンスキー大統領は6日火曜、無人機を専門とする独立した新たな軍の創設を命令した。戦場での無人機・ドローンの重要度は日増しに高まっており、大統領はロシアとの戦争を続ける中、新しい部隊により無人機の調整、計画、物流が改善されるだろうと述べた。

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ゼレンスキー大統領は6日の夕方の演説で、すでに内閣と軍参謀に対し、ウクライナ軍内での無人機部隊創設の詳細を詰めるよう指示していたことを明らかにし、国防軍に別組織として新たに無人機軍の設立を開始する法令に署名したと発表した。そして、大統領は「これは遠い先の話ではなく、近いうちに非常に具体的な結果が出る、今年はいろいろな意味で重要な年になるはずだ。もちろん戦場でも。無人システムであるドローンは、陸上、上空、海上での戦闘でその有効性を証明している。ウクライナはドローンの助けを借りて、黒海の治安状況を本当に変えた。地上からの攻撃を撃退するのは、主にドローンの仕事だ。占領者とその装備の大規模な破壊もドローンの領域だ。現在のタスクのリストは明確である。ドローン操作のための特別なスタッフのポジション、特別なユニット、効果的なトレーニング、経験の体系化、生産の継続的な拡大、この分野の最高のアイディアとトップスペシャリストの関与。これは軍、防衛省、政府全体の課題だ。また、国防軍における必要な調整を確保し、適切なレベルの計画と物流の質を確保するために、ウクライナ軍内に無人機システム部隊を設置する。」と述べた。

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無人機・ドローンの軍事利用はここ数年で爆発的に伸びており、この有効利用が戦争の勝敗を分けると言っても過言ではない。戦力差はあったものの、アゼルバイジャンとアルメニアと間で起きた2020年のナゴルノ・カラバフ戦争ではアゼルバイジャンが無人機・ドローンを有効活用し、アルメニアの防空システムを無効化するなどして圧倒して勝利した。現在のロシア・ウクライナ戦争でもドローンが両軍の戦車や防空ミサイルシステムを破壊する映像が数多く拡散されており、その有効性を示した。

既に世界の軍隊は無人機・ドローンを採用しているが、それは陸海空軍の中のひとつのツールにしか過ぎないのが現状であり、偵察や監視用途が主だ。例えばウクライナ軍が力を入れているドローンによる爆撃、FPV(一人称視点)の自爆ドローンといった形で運用している国は紛争当事国でもない限り、ほとんどいないだろう。ウクライナ軍は不幸にも戦争を経験することで、無人機・ドローンの戦場の有効性に気付き、独自に兵器化、戦術化しており、それをより高度な領域で運用するために独立した専門部隊を創設する。無人機を専門とする独立部隊を擁する国を聞いたことはない。

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バイラクタルTB2

ウクライナが力を入れるのは小型ドローンだけではない。昨年1月にはトルコとウクライナはトルコの無人機メーカー”ベイカー”社が開発するバイラクタルTB2を生産するための工場をキーウ近郊に建設することで合意に達した。従業員は500人となり、年間120機のバイラクタルTB2またはTB3といった大型無人機を生産する予定だという。発表時、2年以内の稼働を目指すと言っていたので、早ければ年内にも稼働する可能性はある。TB2の製造に必要なエンジンやパーツの多くはウクライナ国内で生産される予定で、ウクライナのJSCはベイカー社の無人機用にエンジンを製造しており、生産する上での体制は整っている。バイラクタルTB2はロシア侵攻の初期にウクライナを護ったことで名声を挙げた無人機で、空からロシア地上軍を攻撃、侵攻を遅らせたことでキーウ防衛に貢献した。その後も黒海艦隊モスクワの撃沈、スネーク島奪還にも貢献している。現在、多くが撃墜され、活躍の話は聞かなくなったが、国内での量産化、専門部隊による運用でまた活躍を見られるかもしれない。

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自爆無人艇艦隊

また、記憶に新しいのが先日、黒海艦隊のミサイル艇を撃沈した自爆無人艇だ。ほぼ、海軍が機能していないウクライナ軍だが、黒海ではロシア海軍に大きな打撃を与えており、その一端を担っているのが自爆無人艇になる。2022年10月にフリゲート艦アドミラル・マカロフ。そして、掃海艇のイワン・ゴルベッツに損傷与えると、2023年8月には黒海の東端と遠く離れたノヴォロシースク港に停泊するロプーチャ級揚陸艦オレネゴルスキー・ゴルニャクの船体に大きな穴を開ける。そして、今年2月にはクリミア半島でミサイル艇イワノヴェッツを無人艇の飽和攻撃によって撃沈した。ゼレンスキー大統領は2022年11月にウクライナ海軍に世界初の無人艇艦隊の創設を命令しているが、この無人艇艦隊が今回創設される、無人機部隊に編入されるのかは不明だ。

西側の援助こそあるものの国力に乏しかったウクライナは無人機・ドローンの活用に活路を見出した。また、IT、テックに強い国というこもあり、自分たちでドローン技術を押し上げ、現在、ドローンの軍事利用においては世界で最も進んだ国と言ってもよいかもしれない。

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