ウクライナ軍とロシア軍のスネーク島を巡る攻防が激化

オデーサの南に位置し、ルーマニアにも近い孤島スネーク島(宇:ズミイヌイ島)はロシアによる侵攻が始まって直ぐ、ロシア軍に占拠されました。それから2か月、黒海の要衝はロシア軍に占拠されたままですが、5月に入ってからここを取り戻そうとするウクライナ軍とそれを阻止するロシア軍との間で戦闘が激化しています。

sponser

黒海艦隊の弱体化でウクライナ軍が攻勢に

当初、圧倒的優位性をもっていた黒海のロシア海軍ですが、戦力バランスが崩れてきたことで、最近、ウクライナ軍は反撃に転じています。

ウクライナ軍は5月6日、スネーク島の防空システムであるTorミサイルシステム9A330/9A331を攻撃ドローン「バイラクタルTB2」によって破壊する様子を公開しました。

スネーク島の防空網を無効化すると、その翌日5月7日には同じくバイラクタルTB2による攻撃でスネーク島に停泊するセルナ級揚陸艇を破壊する映像を公開します。

更にその翌日5月8日には、同島に着陸したロシア軍のMi-8ヘリをバイラクタルTB2による攻撃で撃破する映像を公開しました。

sponser

これらの攻撃が成功した要因として、黒海艦隊が機能していないことが考えられます。4月14日に黒海の防空任務を担っていた巡洋艦モスクワが沈没。まだ、情報が錯綜していますがスネーク島近海を航行していた黒海艦隊の最新鋭フリゲート艦アドミラル・マカロフが沈没ないしは大破という情報もあり、ロシア軍の黒海における防空力は弱体化。これによりウクライナに近い黒海海域の制空権を確保したウクライナ軍はスネーク島を奪還すべく、ロシア軍への空からの攻撃を激化させています。

スネーク島を奪還すればセヴァストポリへの攻撃が可能に

スネーク島はウクライナ軍が反撃に転じる上で重要な戦略拠点です。スネーク島から黒海艦隊の司令部があるクリミア半島の港湾都市セヴァストポリまでの直線距離は271km。モスクワを沈めたとされるウクライナ軍の対艦ミサイル「ネプチューン」の最大射程は280kmとギリギリ射程内に収まります。スネーク島にネプチューンを配置できれば、セヴァストポリの黒海艦隊司令部、停泊中の艦隊への攻撃が可能になります。黒海艦隊が攻撃を逃れるには島の反対側に退避する必要があり、そうなればウクライナは黒海西側の制海権を奪取することなり、ロシアはそれを失うことになります。

sponser

反撃するロシア軍

ウクライナ軍は当初、ナチス・ドイツへの戦勝記念日である5月9日のロシアのパレードまでに島を奪還することを試みていたようですが、ロシア軍としてもここを失う訳にはいかず、その試みは失敗したようで、5月11日現在もスネーク島をウクライナ軍が奪還したという情報はありません。ロシア国防省のスポークスマンは島を奪還しようとしたウクライナ軍との最近3日間の戦闘でロシア軍は30機のドローン、3機のSu-24攻撃機、1機のSu-27戦闘機、3隻の装甲水陸両用強襲揚陸艇、10機のヘリコプターを迎撃、50人以上のウクライナ兵士を殺害したと発表しています。

※ウクライナ軍のSu-27の爆撃を受けるスネーク島

しかし、ウクライナ側と違い、ウクライナ軍の損害を裏付けるようなロシア側の映像などの公表はありません。スネーク島の設備の多くが破壊され、2隻のラプター級哨戒艇も撃沈されるなど、スネーク島のロシア軍は孤立しつつあるとされます。

2月24日、黒海艦隊に包囲され孤立したウクライナ国境警備隊の兵士はモスクワからの降伏勧告に対し、「ロシア軍は消え失せろ!」といいました。逆の立場になった時、ロシア兵は何と言うのでしょう。

関連記事

mod ukraine黒海の北部に浮かぶ島”スネーク島(ズミイヌイ島)”はロシア軍によるウクライナ侵攻が始まった日に攻撃を受け、降伏を拒否した国境警備隊の守備隊13人全員が全滅したとされていましたが、隊員は生き残り、この度、無事、[…]

ロシア海軍に「Go fu*k」と言って全滅したとされたスネーク島の国境警備隊員が戻り勲章が授与されました
sponser
sponser
ウクライナ軍とロシア軍のスネーク島を巡る攻防が激化
フォローして最新情報をチェックしよう!