シミュレーターでA-10の訓練をするウクライナ軍パイロット

シミュレーターでA-10の訓練をするウクライナ軍パイロット
US Airforce

何度か噂に上がるアメリカの攻撃機A-10サンダーボルトIIのウクライナへの提供。今のところ、提供されるという確かな情報はありません。しかし、ウクライナのパイロットはいつ提供されてもいいよう、フライトシミュレーターで日々、訓練を行っています。

A-10のウクライナへの提供は何度も噂に上がっては立ち消えています。大抵は政府や軍の高官の個人的意見が飛躍して報道されているだけで、アメリカ政府がこの手の情報を公式に発信したことはありません。アメリカとしてもロシアのエスカレーション抑止のため、A-10の提供については慎重になっています。そんな状況にいてもたってもいられなくなったのか、あるウクライナ将兵が退役したA-10パイロットの協力を得て、ウクライナのパイロットに対し、フライトシミュレーターを使って、まだ提供が決まっていないA-10の訓練を提供しているとTIME誌が報道しました。

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タイム誌の報道にウクライナ軍の歩兵将校アレクサンダー・ゴルガンはロシアによる侵攻初期にロシア軍の砲火に晒される中、幼い頃に見た湾岸戦争でイラクの戦車を駆逐するA-10を思い出し、A-10の必要性を感じます。彼は軍の上層部と支援国に掛け合い、A-10のシミュレーターを手に入れ、秘密の訓練施設を建設、5月初旬から稼働させます。ウクライナ空軍の協力も得ており、これまで実際のパイロット5人が派遣され訓練が行われています。本来、パイロットの育成には何年もかかり、例えパイロットになっても、初めて扱う機体の操縦を習得するには何カ月もかかります。つまり、提供を受けることが決定してから、実際に運用できるようになるのは実際、数か月後です。予めシミュレーターで訓練を受けておけば、この訓練期間を短縮することができます。

A-10はロシア軍(ソ連軍)の戦車を破壊する「タンクキラー(戦車殺し)」として1970年代に開発された近接航空支援機です。低速、低空で飛行し、機首には30mmガトリング砲、翼のハードポイントには精密誘導爆弾、空対地ミサイル、対地ロケットといった様々兵器を搭載。1991年の湾岸戦争で実戦デビューすると、以後、アフガニスタン戦争、イラク戦争で地上部隊を支援し、多くの戦果を挙げてきました。機体は頑丈で、運用コストも安く、設備が整っていない東欧の空港でも利用できるように設計されています。しかし、A-10がこれまで活躍してきたのは制空権を握った空域のみで、敵戦闘機の脅威が残るウクライナの戦場では撃墜されるリスクがあります。

それもあり、ウクライナ軍の上層部は地上攻撃に特化したA-10よりも、対空、対地双方に利用できる多用途戦闘機のF-15、F-16、F-18の提供を求めています。彼らの訓練が無駄に終わらなければよいのですが。

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Source

https://time.com/6207115/ukraine-train-fighter-pilots-russia/

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