
米海兵隊は2025年の最新航空計画 (AVPLAN)を発表。この計画によれば、F-35Bの調達目標を353機から 280機に削減、その代わり、F-35Cの調達目標を67機から倍増の140機にする計画が掲げられている。
「プロジェクトイーグル」と名付けられた米海兵隊の新たな航空戦力計画コンセプトは、分散型航空作戦(DAO)、意思決定センター指向型航空作戦(DCAO)、および「有人無人機連携」(MUM-T)の共同戦闘能力などの指標に重点を置いているが、注目すべきが購入予定のF-35戦闘機のバランスを大幅に変更する点だ。垂直/短距離離着陸機(STOVL)型のF-35Bを削減し、空母搭載型のF-35Cを大幅に増やす事を選択した。ブレイキング・ディフェンスなどの報道によれば、米海兵隊は当初、353機のF-35Bの調達を計画していた。しかし、新しい計画では73機削減し、280機に変更。その代わり、67機の調達を計画していたF-35Cを倍増の140機に変更している。F-35Bで削減された機数分がそのままF-35Cに追加された形で、F-35自体の調達数は当初の420機から変わりはない。これまでに183機のF-35Bと52機のF-35Cが海兵隊に納入されたとされている。
調達バランスの変更により、海兵隊戦闘攻撃飛行隊(VNFA)の第232と第323、第112、第134は、F-35C飛行隊に移行され、最終的には12個のF-35B飛行隊、8個のF-35C飛行隊体制になり、それぞれ海兵遠征部隊(MEU)と空母航空団(CVW)に組み込まれる。また新しい計画では、各飛行隊にパイロット2名と整備専門家25名を追加し、機体数を10機から12機に増やす。同時に、整備運用センターを設立し、物流・サプライチェーン管理システムを改善して、整備効率と配備の柔軟性を高める。既に日本の岩国基地に配備されている飛行隊は12機体制になっており、全飛行隊に広げる形だ
F-35に搭載される兵器の統合も加速、射程延伸型先進対レーダー放射ミサイルAGM-88G、空中発射式精密誘導滑空爆弾GBU-53/B SDB-II、統合空対地スタンドオフミサイルAGM-158シリーズの兵器が統合される。GBU-53は、2025年度に早期運用能力(EOC)に達する予定で8発がウェポンベイに搭載される。AGM-158C LRASM C-1は、4発のミサイルを機外に収納した状態で2026年度にEOCに達する予定。AGM-88G AARGM-ERなどの追加兵器は、それぞれF-35BとF-35Cの機外と機内の両方で統合作業が継続されている。更に「シックス・イン・ザ・ベイ」として知られるサイドキック兵器ラックの追加改修により、F-35Cのウェポンベイには追加で2発の空対空ミサイルAIM-120 AMRAAMが格納できるようになり、計6発が搭載できるようなり、空対空戦闘能力が向上する。
F-35Cを増やす理由は明かされていないが、F-35は現在、様々な問題が起きている。F-35Aは近年、任務遂行可能率と完全任務遂行可能率が低下しており、目標を大きく下回っている。短距離離陸垂直着陸型のF-35Bは任務遂行可能率が低下し、完全任務遂行可能率は横ばい状態にあり、どちらの指標も依然として目標を下回っている。空母艦載機型のF-35Cのみが目に見える改善が見られ、任務遂行可能率はほぼ横ばいで完全任務遂行可能率はわずかに上昇している。ただ、両方の主要指標はプログラム目標を下回っている。生産元のロッキード・マーティン社は新しいTechnology Refresh 3 (TR-3) ハード/ソフトウェアを開発しているが、これが度々不具合を起こしており、1年間、F-35の納入を停止した。TR-3を搭載した機体は米軍でも未だ訓練に限定されおり、完全な運用テストは2026年になると言われている。