M16とM4はアメリカ軍の新旧の主力小銃です。M16はベトナム戦争(1964年~)からの主力小銃で、M4はM16の短縮版(カービン)として1994年に登場し、主力小銃となりました。しばらくは併用して配備されていましたが、今では陸軍、海兵隊、空軍の主力小銃は全てM16からM4に切り替わっています。基本構造は一緒ながら主力となったM4。M4はM16と比べてどこが優れているのでしょう。
M16のカービンモデルがM4
M4はM16のカービンモデルとして1994年に登場します。口径はM16と同じ5.56mmNATO弾仕様で、当時のM16A2のバレル(銃身)を20インチ(50㎝)から14.5インチ(37㎝)に短縮し、銃床(ストック)を固定式から伸縮式に変更します。これにより全長はM16の999mmからM4では150mm短くした850mmに短縮されています。さらにフラットトップレシーバー、取り外し可能なU字型の照準器にピカティニーレールをハンドガードの上部と下部に装備します。これにより照準器やグレネードランチャー(M203)、フラッシュライトといった様々アクセサリーが取り付けることが可能になり、拡張性が大幅に向上されます。
※M16もM16A4モデルではレシーバー・レールに対応しています。
外観は様変わりましたが、M16とM4の中身の基本構造はほぼ一緒で銃の基本パーツの85%が同じと構造的にはほとんど変わりがありません。では性能的な差異はあるのでしょうか。
大幅な軽量化と機能性を実現
構造自体に大きな変化はありませんが重量は大幅に軽量化されます。M16の基本重量は3.5㎏、かたやM4は2.6㎏とおよそ、約1㎏もの軽量化を実現しています。大したことないように聞こえますが、30キロ以上の装備を装着して行動する歩兵にとっては大きな1㎏です。更に短くなった全長・銃身により、操作性が格段に上がっています。近代戦は入り組んだ都市部での戦闘がほとんどで取り回しの良さはそのような場所で大変に有効です。伸縮式のストックはボディーアーマーやプレートキャリアを装備している時は短縮化させることで体にフィットし易くなっています。
射程は短くなったが影響はない
M4はM16の機能をほぼそのままに受け継いでいますが、改修によって、M4には性能がおちた部分があります。それはバレルが短くなったことによる射程距離への影響です。下記はM16とM4の最大射程と銃口初速です。
M16
最大射程:800m 銃口初速:3100fps
M4
最大射程:600m 銃口初速:2970fps
銃口初速は若干落ちた程度でそこまで誤差はないといえます。しかし、最大射程に関しては200mもの差が出ています。これだけの差がでると致命的では考えると人もいるかもしれませんが、実は戦場では然程影響はありませんでした。実際の銃撃戦は300m以内で行われることがほとんどです。特に市街戦が多くなった現代の戦争では50〜200mの近接戦(CQB)が多くなっています。つまり、M16の中距離を狙える射撃能力は不要で、それよりも市街地における取り回しの良さが求められます。
主なスペックの比較
M16 | M4 | |
全長 | 999mm | 851mm |
銃身長(バレル) | 508mm | 368.3mm |
重量 | 3,500g | 2,680g |
最大有効射程 | 800m | 600m |
発射速度 | 700~950発/分 | 700~950発/分 |
銃口初速 | 3,100fps | 2,970fps |
イラク戦争ではM16よりもAK-47を好んだ
2003年に開戦したイラク戦争。敵地に乗り込んだ当時の米海兵隊の主力小銃はまだM16A2・M16A4でした。しかし、M16はイラクの都市戦で兵士の不評を買います。都市という入り組んだ場所に建物内の捜索はいつどこで会敵するか分からず、現場の兵士には即応性が求められました。だが全長の長いM16は不向きで長い銃身が邪魔でした。現地で戦う海兵隊の中にはM16を使わず、敵から取得した折畳みストック式のAK47Uを使っていた者もいたぐらいです。
陸軍は早くからM4に切り替えますが、海兵隊は最近までM16A4を主力小銃として採用していました。ようやく2015年にM4カービンを主力小銃とすることを決め2018年を前に全て置き換えています。
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