なぜ、日本の警察官の銃は回転式拳銃・リボルバーのままなのか

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なぜ、日本の警察官の銃は回転式拳銃・リボルバーのままなのか

日本の警察官が所持する銃といえば回転式拳銃、いわゆる「リボルバー」という銃だ。しかし、世界を見れば拳銃はオートマチックの自動拳銃が全盛。リボルバーなんて西部劇でしか見ることないというくらい前世紀時代のクラシック銃のようなイメージを持つ人も少なくない。海外の人から見れば現代の警官が未だにリボルバーというのは奇妙にすら思われている。装弾数は少なく、威力も弱い。なぜ、日本の警官はリボルバーを使い続けるのか?

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日本の警官が使用する銃は?

警官の使用する銃は「ニューナンブM60」または「M360J SAKURA」になる。 どちらも9㎜口径、.38スペシャル弾を使用する装弾数5発の回転式拳銃になる。アメリカのスミス&ウェッソン(S&W)社の銃をリネームした物になり、 「ニューナンブM60」 の基は「S&W M36」、「M360J SAKURA」は「S&W M360」になる。M60 は1960年から調達が開始され1990年に生産終了しているが現在でも配備、運用されている。 「M360J SAKURA」は2006年から調達が開始されている。どちらも日本の銃器メーカー「ミネベア」がライセンス生産している。 M360J SAKURAは2006年と時代的にも自動拳銃に更新しても良かったと思うのだが、引き続きリボルバーのままだった。

ニューナンブM60

タナカ S&W M36(M60) 2インチHW Ver.2 18歳以上ガスリボルバー

M360J SAKURA

タナカ S&W M360J サクラ .38スペシャル 1-7/8インチ ヘビーウェイト 18歳以上ガスリボルバー

銃犯罪が少ない

なぜ、日本の警察官の銃は回転式拳銃・リボルバーのままなのか

日本は他の諸外国と比べて銃犯罪は稀だ。そもそも銃を所持している人が少ない。世界一銃の所持が厳しいといわれる日本の2017年の民間の銃所持数は377,000挺。これは国民100人あたりの所持数は0.30挺という数字なる。 そのほとんどが猟銃や競技用になる。ちなみに他の国はというと下記になる。

国    所持数    100人当たりの所持数
アメリカ 393,347,000  120
ドイツ  25,900,000  32.0
中国   49,735,000  3.6   
gunpolicy.org 調べ(2017年)

それもあり、警官が銃を使用する機会が非常に少ない。銃犯罪があっても大抵は暴力団同士の抗争で一般市民や警官に銃を向けられることはほとんどなく、現場で一度も発砲することなく職務を終える警察官が大多数になる。また、使わないということは銃の部品の劣化が遅く、銃身内部のライフリングが摩耗することもないので使用期間が非常に長く、買い替える必要がない。

運用が楽で信頼性が高い

リボルバーは自動拳銃に比べて精度と信頼性が高いといわれており、シンプルな構造は初心者でも扱いやすく、暴発の危険性も少ない。部品数が少ないことから故障も少なく、弾詰まりやジャムが起こりにくい。銃を扱う頻度が少ない日本の警官は正直銃の扱いに慣れているとはいえない。稀に使うケースが出てきた時に正しく扱えないという事ではまずい。その点、リボルバーならとっさの時でも容易に扱う事ができる。

自動拳銃は必要ない

最近の自動拳銃の装弾数は大容量化しており、法執行機関に人気のGlock17で17発、SIG P320も17発と大容量になる。装弾数の数は制圧力に比例し、銃を持つ相手に対して火力で圧倒することができる。犯罪者の重武装化が進む国の警官は自動拳銃を装備している。かたや日本の警察の使うニューナンブM60とM360Jの装弾数はたったの5発だ。Glock17の三分の一にも満たない。非常に心もとない感じがするが、日本において銃撃戦は起きないので十何発という装弾数は必要ない。銃を所持する犯罪者もいないので拳銃を所持しているだけで犯罪者に対して抑止力になる。仮に相手が銃を持っていたとしても、日本の場合、同じようなリボルバーやトカレフといった装弾数が少ない銃のケースが多い。それもあり、わざわざリボルバーよりも扱いが面倒で価格の高い自動拳銃に代える必要がない。

銃を使わなくとも制圧できる

日本には空手、柔道、合気道、柔術、剣道など多くの武術があり、日本の警察官は犯人を制圧する術としてこれらの武術を日々訓練している。更に警棒や刺又(さすまた)など道具を駆使した逮捕術もあり、銃に頼らなくとも犯人を捕らえる術があり、銃に頼る必要がない。

つまり、警官がリボルバーを使い続けるという事は日本の銃犯罪が少なく、治安が良く平和という証になる。警官がもし、自動拳銃を持ち始めたら、それは日本の治安が悪化したことを意味するかもしれない。

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