米軍基地内にゴルフ場がある理由

2020-09-24
2024-03-12
戦争・歴史

在日米軍基地の開放イベントに行ったことがある人なら見たことあると思いますが、米軍基地内にはゴルフ場が設けられています。パターゴルフや打ちっぱなしような小さなものではなく、ゴルフコースの基本といわれる18ホールを構える立派なゴルフ場です。筆者はゴルフに詳しくないですが、米海軍厚木基地内で見たアツギゴルフクラブは立派なクラブハウスを構え、綺麗な芝生のコースはテレビで見るようなプロゴルフツアーも開催できるようなコースに見えました。実は在日米軍基地のゴルフ場は日本国内に9コースもあります。港湾の海軍基地以外の国内の大規模な基地には大抵ゴルフコースが設けられています。これは日本だけではなく、米国内はもちろん、米軍の海外基地でもゴルフ場は設営されています。軍務と関係ないと思えるゴルフ場がなぜ、基地内にあるのでしょう？

1 世界中に点在する米軍ゴルフ場
2 ゴルフ場の目的は？
- 2.1 保安用地を利用
3 維持管理は独立採算
4 在日米軍基地のゴルフ場は我々の税金
5 在日米軍基地のゴルフ場

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世界中に点在する米軍ゴルフ場

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Cheyenne Shadows Golf Club(@cheyenneshadowsgolfclub)がシェアした投稿 – 2020年 5月月25日午前7時09分PDT

世界中に800以上ある米軍施設の内234もの施設にゴルフコースがあります。その内約160が米国内とされ、70施設あまりが海外の基地に設営されています。ゴルフコースがある施設は、司令部施設や飛行場といった米軍の主要拠点はもちろん、イラクやアフガニスタンといった戦場にも作られています。北朝鮮と韓国を隔てる北緯38度線の非武装地帯のすぐ南にある国連軍の駐屯地であるキャンプ・ボニファスにもゴルフ場があり、ここは世界一危険なゴルフ場と呼ばれています。

ゴルフ場の目的は？

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Jari Saarentaus(@jari.saarentaus)がシェアした投稿 – 2020年 7月月31日午前6時42分PDT

米軍のゴルフ場の歴史は古く19世紀後半には米軍基地内にゴルフ場がありました。だが、ご存じのようにゴルフは軍務に直結するものではありません。ビジネスにおいては接待ゴルフなるものがありますが、軍の身内だけの集まりでは、その必要はありませんし、むしろ軍人の高官は接待される側です。軍人としての強固な肉体を作るためとしてもゴルフはサッカーやアメフトなどと比べると穏やかで肉体の鍛錬には結び付きにくいです。

そうなると目的は単純で、軍事施設内のゴルフ場の目的は軍人及び、その家族のための福利厚生・娯楽用の施設としてあります。ゴルフは他のスポーツと比べ穏やかで楽しくリラックスでき、緊張状態を強いられる軍人にとってはストレス解消に最適で士気の持続に繋がります。

保安用地を利用

娯楽施設ではありますが、主に保安用地を使用しているとされます。保安用地とは滑走路の周辺に、安全確保のためなどに作られた草地などのエリア。整備され、なだらかな芝生は滑走路が使えない緊急時にはヘリコプターの着陸地点として利用したり、緊急避難場所、負傷者の収容施設と使われます。

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維持管理は独立採算

このゴルフ場、軍施設内にはあるものの実は米国連邦法により、完全な自給自足を維持し、維持管理のために政府の資金に頼らないことが求められています。つまり、軍事費を使ってはいけなく、施設内のゴルフ場は納税者のお金を使って運営されてはいけません。なので運営費は物販販売や基地開放イベントといったレクレーションで得た売上、一般にも開放して、会員費など施設使用料をとることで、運営費を賄っています。そのため、ゴルフ場は家族が一緒に住める場所、人口密集地に近い施設に設けられることが多いです。

ただ、利益を目的としていないこともあり、十分な運営費が確保できないコースは管理が行き届いていなかったりします。また、基地維持費の削減が検討に上がった際に真っ先に削減対象となるのがゴルフ場とされています。

在日米軍基地のゴルフ場は我々の税金

米国内のゴルフ場には税金は使用されていませんが、海外となると変わってくるようです。在日米軍基地のゴルフ場の場合について説明します。
日米地位協定により、在日米軍の在留経費は日米双方で負担することになっています。この内、在日米軍基地の従業員の賃金に関しては日本側が全額負担することになっています。そこで問題になるのが、ゴルフ場の整備や管理運用は軍人が行っているのではなく、米軍が採用した従業員によって行われいる点です。つまり、国内の米軍の娯楽用のゴルフ場を運営するための人件費は我々が払った税金によって賄われていることになります。連邦法に照らし合わせるならば、在日米軍基地においても米軍内で独立採算で運用すべきであり、これは一時期、国会でも問題になりました。