2021年7月15日、アメリカ海軍が女性が初めて海軍特殊戦 (NSW) の評価を完了し、特殊戦作戦艇戦闘員 (SWCC) の過程を卒業したと発表した。
女性兵士は、海軍特殊作戦艇の乗組員になるための地獄の37週間のトレーニングコースを無事に修了。15日木曜に卒業式が行われ、彼女は式典中にSWCCのピンを受け取った17人の隊員の内の唯一の女性であり、ピンを受け取った初めての女性になった。今回、彼女が挑んだ米海軍特作戦軍のSEAL・SWCCのセレクションには卒業した彼女を合わせて18人の女性が挑戦。内14人が脱落、残りの4人の内の一人が卒業した彼女で、3人がまだ訓練中となっている。内一人は特殊部隊SEALを目指している。毎年1200人あまりの兵士が挑戦し、卒業できるのはその内35%未満。毎年300~400人程が訓練課程を卒業している。
衛生兵のスキルも持ち合わせるマルチ兵士
SWCCは小型の戦闘艇の乗員ではあるが特殊部隊のSEAL希望者と同じ地獄の選抜試験と訓練を完了する必要があり、特殊部隊員と同等の身体能力を求められる。その後は戦闘に特化するSEALとは違う訓練になるが、体力、精神力はSEALと同等と言っても過言ではない。水上、水中におけるスキルはもちろん、パラシュート降下(空挺)のスキルも持ち合わせている。
また、特殊部隊の輸送任務が多いという性質上、応急処置や生命維持のメディックスキルに長けており、負傷者を回収してから処置可能な場所に運搬するまでの命を繋ぎとめるための訓練を受けている。SWCCの隊員全員が戦闘応急処置、一次救命処置、気道管理と酸素投与、外傷治療、限定的な救急薬の投与についてトレーニングを受けており、衛生兵と同等の能力を有するなど、マルチスキルを兼ね備えた兵士だ。
Photo by us navy世界有数の特殊部隊である米海軍ネイビーシールズ(Navy Seals)。彼らの活躍は有名ですが、主戦場である外洋、沿岸、および河川環境への動員、迅速に移動し任務を完遂するには広範な兵站準備が必要です[…]
増えつつある女性の特殊部隊
特殊部隊が女性にも開放されたのは2016年と僅か5年前。これまでに多くの女性が挑戦したきた。体力、筋力でどうしても男性に劣ってしまうため、男性もよりも高い壁だが、その壁を超える女性兵士が徐々に誕生している。2017年には米陸軍の特殊部隊「第75レンジャー連隊」に初の女性兵士が誕生。2019年9月にはアメリカ海兵隊で初めて女性海兵隊員が、軍事専門キャリア「MOS(Military Occupational Specialty)」 の0321偵察海兵隊(BRC)の過程を修了している。これは”フォース・リーコン”と言われる特殊偵察兵の資格だ。2020年2月には米陸軍グリーンベレーの資格認定を初めて女性が修了し、その後、グリーンベレーに入隊している。
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