イエメンのフーシ派、約束破り中国船を攻撃

イエメンのフーシ派、約束破り中国船を攻撃

イエメンの反政府武装勢力フーシ派が中国との約束を破り、紅海で中国の石油タンカーを攻撃したことが分かった。

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中東に展開するアメリカ中央軍(CENTCOM)は、イランの支援を受けているイエメンの反政府武装勢力フーシ派が23日土曜、紅海南部で対艦弾道ミサイル5発を発射し、その内一発が中国が所有・運航するパナマ船籍の石油タンカー「黄埔号」を攻撃、船に着弾したと発表した。黄埔号は遭難信号を発したが、援助は要請しなかったと米中央軍はSNS上で発表。船内で火災が発生したが30分以内に消し止められ、損傷は軽微だったのか死傷者は報告されず、船は航行を再開したと報告している。

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フーシ派は昨年末から紅海を通る商船に対し、度々攻撃を行っている。これはフーシ派が支援するパレスチナ・ハマスへの連帯とイスラエルへの対抗になり、特にイスラエルとそれを支援するアメリカ、およびアメリカに追随する西側諸国に関係する船を標的にしており、昨年11月には日本郵船のチャーター船がフーシ派に乗っ取られる事件も起きており、船は未だに返還されていない。西側を標的にするフーシ派だが、フーシ派を支援するイランと友好関係にある中国とロシアの両国に対しては両国に関連する船舶は紅海とアデン湾を安全に航行できると約束していた。つまり、今回の攻撃はその約束を反故にした形になる。フーシ派は攻撃が成功すると通常、犯行声明を出すが今回は一切出していない。中国と関連のある船と知らずに攻撃したと思われるが、フーシ派とイラン、イランと中国との外交問題に発展する可能性がある。米国はイランの支援を受けるフーシ派による紅海での商船攻撃をやめさせるためにイランへの影響力が強い中国に説得するよう促しており、ロイター通信によれば今年1月に中国政府がイランに対し、フーシ派による紅海での船舶攻撃を抑制するよう要請したことが分かっている。抑制しなければイランと中国との通商関係が損なわれる恐れがあると言及したとされる。ただ、その影響は今のところ見られない。逆にフーシ派は数日前に中国とロシアの両国の船が同海域を安全に航行できる事を保証する通知を出した。その代わりにフーシ派は中ロに対し、国連安全保障理事会などの場でフーシ派に政治的な支持を与えるよう要請しているとブルームバーグが報じている。

各国の海運会社が船の安全な航行の為、同海域の航行をやめ、大きく迂回することなったことで、輸送費や到着までのリードタイムが増加、世界の海運が混乱する中、中国とロシアの船はこれまでと変わりなく運航できていたが、今回の事件により、中国も自国の船が攻撃されるリスクが露呈した。

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同海域はアメリカ軍を初め、イギリス、フランス、ドイツ、スペインと西側を主体とした10か国の有志連合が商船の安全な航行のために海軍の艦艇を派遣。紅海とアデン湾を監視し、フーシ派の無人機やドローン、ミサイルを発見次第迎撃している。それでも広い海域、全てを監視することは難しく、今年1月にはイギリスの会社が運航するマーシャル諸島の船籍の石油タンカーにミサイルが着弾、損傷した。2月にも同じくイギリスの会社が運営する貨物船が攻撃を受けて沈没している。今月6日にはバルバドス船籍の貨物船「トゥルー・コンフィデンス」がミサイル攻撃を受け、3名が死亡するなど初の死者を出しました。アメリカやイギリスはフーシ派の拠点を攻撃するなどしているが、未だ攻撃は続いている。ちなみに海上自衛隊はアデン湾での海賊対策のために艦船は派遣しているが、フーシ派の対応については今の所、参加する予定はない。

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