アメリカの防衛企業ロッキード・マーティン社は2月17日、アメリカ海軍の艦艇に初の海上ベースの極超音速攻撃能力を提供するための11億ドルの契約を獲得しました。開発される水上艦ベースの極超音速兵器プラットフォームはズムウォルト級ミサイル駆逐艦に搭載されます。
米海軍は、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦 (DDG) にプロンプトストライク (CPS) 兵器システムを統合する契約をロッキード・マーティン社を締結しました。オプションがすべて行使された場合の契約額は20億ドルを超えます。CPSは極超音速ブースト・グライドミサイル兵器システムと呼ばれるマッハ5以上、毎分100kmに迫る速度で長距離を短い時間で飛行を可能にしたミサイルで敵の防空網に対して高い生存性を持つ極超音速ミサイルです。
ロッキード・マーティンの極超音速攻撃兵器システム担当副社長、スティーブ・レイン氏は 「ロッキード・マーティンはこの新たな契約を通じて、米国の極超音速攻撃能力を前進させ続けます。初期の設計作業はすでに進行中です。我々のチームは、海上でアメリカをさらに保護するためのより多くの選択肢を提供することによって、戦闘機を支援することを楽しみにしている」 と述べています。
契約では、ロッキード・マーティン社がランチャーシステム、武器制御、統合ミサイル部品であるAll Up Rounds (AUR) と呼ばれるプラットフォーム海軍に提供。下請けのノースロップ・グラマンやジェネラル・ダイナミクス・ミッション・システムズなどの業界パートナーとともに、2020年代半ばまでにCPSによる水上発射型の海上極超音速攻撃能力をズムウォルトに提供する予定です。
AGSは取り除かれ、極超音速ミサイルを搭載
ズムウォルト級駆逐艦は沿岸から陸上部隊を支援するために建造されたステルス艦で、主砲には2門の「155mm AGS(先進砲システム)」を搭載しています。AGSは「LRLAP(長距離対地攻撃弾)」を使用する分間20発、118kmの超射程の艦砲でしたが、砲弾の単価が1億円と高額で量産は見送られます。そこで、米軍艦艇では最も発電容量が高い発電機を搭載する同艦にレールガンを搭載する計画も上がりました、レールガンの開発も米海軍は中断し、ズムウォルト級駆逐艦は無用の長物に。2011年から建造が始まり30隻以上あった建造計画も僅か3隻のみ建造に終わっています。今回、極超音速兵器プラットフォームを搭載する改修に伴いズムウォルトの主砲である”AGS”は撤去されますが、海軍初の極超音速ミサイルを搭載する艦艇として生まれ変わります。
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