アメリカの航空宇宙大手ボーイング社とASTRO AmericaはAH-64アパッチ攻撃ヘルコプターのメインローター部品を3Dプリントで製造することを発表した。これにより、納期がこれまでの1年から1日に短縮される。
ディフェンスニュースによればボーイング社は、長いリードタイムを削減し、部品のサプライチェーン全体を改善する取り組みの一環として、来年春に、 AH-64アパッチ攻撃ヘリコプターのメインローターシステム用の3Dプリントされた部品のテストを開始する予定だ。
既に最初の部品は製造されており、先日開催された米陸軍協会のイベントAUSA2023でボーイング社とASTROのチームは、イリノイ州ロックアイランド工廠にある世界最大の3D金属プリンタで製造された最初のメインローターリンクアセンブリを展示している。鍛造品であるAH-64アパッチのメインローター部品はこれまで発注から納期まで1年のリードタイムを擁していた。これが3Dプリンタであれば、6,000 シリーズ アルミニウムの蒸着に45分、プリントに8時間、計9時間で製造ができ、早ければ一両日中に部品を納品できることになる。ボーイング社は2024年4月に3Dプリンタで製造した部品を使用して、本格的な耐久試験を実施する予定だ。
ASTRO Americaは、製造技術と政策を推進する非営利、無党派の研究機関およびシンクタンクで、米陸軍地上車両システムセンターからエンジニアリング支援と大規模大型部品の開発を目的とした9,500万ドルの契約を獲得。戦車やその他の戦闘車両を含む大型部品の積層造形能力を開発するためのエンジニアリング サポートを提供している。「The Jointless Hull Project」と呼ばれるプロジェクトではM1エイブラムス戦車を全体をプリントできるほど巨大な3Dプリンタも含まれている。今後、車両部品においても3Dプリンタを広げる計画だ。
産業用では既に多くの部品が3Dプリンタで生産されているが、兵器においても3Dプリンタは徐々に広がっている。今年8月にはアメリカがウクライナに産業用3Dプリンタを供与。このプリンタは軍事装備品のスペアパーツを製造するために使用されている。耐久性が不要な自爆ドローンのパーツについては既に多くが3Dプリンタで生産されている。
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