間接的なウクライナ支援を模索する中立国のスイスはレオパルト2戦車の売却を検討

間接的なウクライナ支援を模索する中立国のスイス
Schweizer Armee

欧州の永世中立国であるスイスは紛争当事者であるウクライナを直接支援することはできませんが、間接的な支援方法を模索しています。

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Pz 87
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ブルームバーグの報道によれば、レオパルト2戦車をウクライナに提供する国に対し、スイスは自国が保有するレオパルト2戦車を格安で提供することを検討しているとされます。スイス軍には約300両のレオパルト2A4戦車が「Pz 87」という名で配備されています。この内、ドイツから購入したのは35両のみで、残りはライセンス供与をうけて国内で生産されています。そして、この内、約100両が予備役として倉庫で眠っています。山岳地帯で周りに脅威となる国も無いスイスにとって、300両という数は明らかに余剰戦力でしょう。これをレオパルト2A4を保有する国に提供することでウクライナへの供与数を増やすと共に、まだ提供に踏み切っていないチェコやスロバキアなどには戦車提供を後押しすることを検討しています。

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永世中立国であるスイスは国家間の紛争においては一貫して中立的な立場をとっており、此度のウクライナ・ロシア間の戦争においても中立を保っています。しかし、他の欧州と同じ民主主義陣営であるスイスは人道的支援としてウクライナに生活・医療物資の提供や傷病人の受け入れを行ったり、スイス銀行のロシア人口座を凍結するなど、ウクライナよりの姿勢は見せています。しかし、こと軍事支援となると立場は一貫しており、ウクライナに提供するゲパルト対空自走砲の35mm機関砲の弾薬が足りないことを知ったドイツが35mm弾を製造するスイスのエリコン社に提供を求めた際、紛争当事者であるウクライナが使用する武器を供与することはできないと提供を拒否します。

では、レオパルト2の提供はいいのか?と疑問に思う人もいるかもしれませんが、今回のスイスのレオパルト2戦車の提供は”ウクライナへ”ということではありません。例えばチェコが10両のレオパルト2戦車を持っていたとします。そのチェコに10両のレオパルト2を供与すれば、もともと持っていた10両のレオパルト2は余剰戦力になります。つまり、余剰になった分をウクライナに提供しては?ということです。これをスイスから条件としてチェコに提案するわけではなく、あくまでチェコが余る戦車を提供するという判断をせねばなりません。そして、ウクライナに提供されるのはあくまでチェコが保有していたレオパルト2です。スイスから供与された車両はチェコ国内に留まり、紛争当事者に渡ることはないので、一応、スイスの中立は保たれるということです。これが可能であれば、更に100両近い、レオパルト2のウクライナへの提供が実現するかもしれません。

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Source

Tank for a Franc? Swiss Weigh Fire Sale of Arms Over Debate on How to Help Ukraine

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