2012年に初の空母「遼寧」、2017年に「山東」を就役させた中国人民解放海軍は3隻目の空母003型の建造の真っ最中で、2021年内には進水すると予想されており、その性能はアメリカ軍の空母にも匹敵するとも噂があります。
遼寧と山東
中国初の空母「遼寧」はほぼスクラップ同然のソ連時代に建造されたアドミラル・クズネツォフ級航空母艦「ヴァリャーグ」を改修したことは有名な話です。同艦は1980年代に起工され、ソ連崩壊後に建造は中止、長年、ウクライナに放置され、スクラップとしてマカオの民間企業に売却されたものを中国政府が買い取りました。その後、建造は再開されますが、当時の建造資料を揃えられず、中国独自に研究した技術を組み込むなど親和性という点に関しては不安な点が多いとされます。カタパルトはなく、発艦システムはスキージャンプを採用していますが、この場合、機体重量の制限が多く、多くの燃料、重い兵装を装備しての発艦が無理なため、戦闘機の作戦能力は限られます。「山東」はその遼寧と同型艦の2番艦で性能はほぼ同等とされています。ロシアの唯一の空母「アドミラル・クズネツォフ」は遼寧と同型の姉妹艦ですが、トラブルが多発しており、現在はドッグで改修中です。
3隻目の空母003はちょっと違う
現在、建造中の「003型」は遼寧、山東で培った空母建造のノウハウをもとに建造するオリジナルの国産空母とされます。その最大の特徴はこれまでの2隻のスキージャンプ方式とは異なり、電磁式カタパルトを採用する点です。これは、米軍の最新鋭のジェラルド・R・フォード級にも採用されている最新鋭の発艦システムです。発艦効率はスキージャンプ式よりも高く、戦闘機はより多くの燃料とミサイルが搭載できます。さらに早期警戒管制機、対潜哨戒機、輸送機といった大型機の発艦も可能にします。特に早期警戒管制機、対潜哨戒機は、空母打撃群の運用にあたり、大きな役割を果たします。003型の排水量は米国のキティホーク級と同程度で満載排水量は80,000トンを超えるとされ、艦載機の搭載数は前の2隻よりも増え40機ほどと予想されています。
003型はブロック工法を採用したことで建造速度が上がっています。早ければ2021年末には進水、その後、テスト、試験航行などを経て、実際に就役するのは2024~2025年頃とされいます。003型が完成、成功すれば、中国は空母の量産化を加速するかもしれません。