AFP通信の報道によれば、アフリカのコンゴ民主共和国で”3月23日運動(M23)反乱軍”との戦闘中に国軍兵士が敵から逃走する「敵前逃亡」を行った罪で死刑判決が下された。
3日水曜、27人の兵士とその妻で民間人4人を含む合計31人の被告が、前線に近い北キブ州ブテンボ駐屯地軍事法廷に出廷。彼らはM23との戦闘中に敵前逃亡しとして、審理後、裁判官は2人の大尉を含む25人の兵士に死刑判決を言い渡した。他の2人の兵士と4人の妻は証拠不十分で無罪となった。しかし、その2日後には二等兵と伍長の二人に同じく敵前逃亡などを理由に死刑判決を出している。ただ、彼らは他にも軍需品の散逸、命令違反、窃盗、殺人、強盗など、いくつかの罪に問われており、敵前逃亡のみで死刑判決が下されたのかは不明だ。弁護側は控訴する意向を示している。コンゴ民主共和国軍は敵前逃亡に対しては厳しく、5月にも将校5人を含む8人の兵士に死刑判決を下している。昨年3月、コンゴ政府は同国で2003年以来施行されていた死刑執行停止措置を解除している。
アフリカ中央部に位置するコンゴ民主共和国はかつてザイールと呼ばれていた国で、1960年に独立して以降、これまで何度も内戦が起きている。1990年代になると豊富な天然資源の利権を巡って地域紛争が勃発、地元と外国を拠点とする武装集団間の戦闘により30年にわたって内戦が続いている。M23反乱軍は隣国のウガンダとルワンダが支援しているとされる。
現在で死刑判決は稀
[adcode]敵を前にして戦える状態ながら命令に従わず戦闘を放棄して逃げる事を敵前逃亡といい、部隊を勝手に離れ逃亡した兵士は脱走兵という。どちらも重大な軍規違反の一つになる。これらの行為を行った兵士は憲兵に捕らえられ軍法[…]
第二次大戦時には日本、ドイツ、ソ連で数万人の兵士が敵前逃亡で処刑されたが、現代において、同様の罪で死刑が執行されるのは稀である。アメリカ軍の敵前逃亡の最高刑は死刑だが、そのような判決が出るのは稀で、そもそも米軍は第二次大戦時に49人の兵士に死刑判決を下したが、実際に執行したの一人だ。自衛隊には死刑はなく、7年以下の懲役、禁固刑が科せられる。ロシア・ウクライナ戦争ではロシア軍が逃亡、または投稿する囚人兵を軍事法廷に掛ける事無く、その場で処刑しているとされている。