昨今の戦争・紛争においては当たり前の兵器となったドローン・無人航空機(UAV)。UAVの有無やそれを使った戦術の優劣が戦争の勝敗を分けるといってもおかしくありません。各国で競うように開発が進められた結果、多くの軍事ドローン・UAVが開発されます。手の平サイズに納まる小型の物から、有人航空機と変わらない大きさの大型モデルまで多種多様です。米国防省は増えたUAVを戦術的な運用、および戦略的な操作をサポートするためにタイプとサイズに応じて「DoDUASグループ」と呼ばれる5つのグループに分類しました。(アメリカの連邦航空局ではも無人航空機をUASと呼称します)
グループ1
重量:約9kg
飛行高度:約360m
飛行速度:185km以下
小型の偵察ドローンに分類されるカテゴリーになり、基本、人の手から離陸、回収されるようなサイズになります。米軍をはじめ世界18国で使用されるRQ-11レイヴンは全長1.1m重量1.9kg、速度97km/h、紙飛行機のように人の手によって空中に射出され、このカテゴリーに該当します。一番下のカテゴリーのため、米陸軍が採用する全長166mm、重量33g、速度6m/sのナノドローン「BLACK HORNET」も、このカテゴリーに分類されます。このカテゴリーに属するドローンは歩兵部隊による運用が主で周囲偵察用の数十分の飛行時間、数キロの行動半径しかないものになります。
その他、RQ-16T-ホーク、WASPなど
グループ2
重量:約22kg
飛行高度:約1,000m
飛行速度:460km以下
人が携行可能な重さではありますが射出、回収には専用の機器が必要になってくる機体になります。代表的なものが主に海軍や海兵隊で使用され、沿岸地帯の近海偵察に用いられるスキャンイーグルで、重量22kgで速度148km/hに達します。24時間飛行可能で、高度など飛行領域はグループ1から飛躍的に拡大します。スキャンイーグルは自衛隊でも採用されています。
その他、Flexrotorなど
グループ3
重量:約600kg
飛行高度:約5,480m
飛行速度:460km以下
人の手によって持ち運びが難しくなる大きさと重さになり、中型ドローン、無人航空機と言えるサイズになってきます。代表的なところでは米陸軍が使うRQ-7や海兵隊・海軍が使うRQ-21 ブラックジャックなどがあります。高高度で数十時間飛行可能で、機体が大型化したことでアビオニクスや各種センサー・カメラも高機能化。一定のペイロード能力を持っているため、追加センサーなど拡張性もあり、RQ-7などは迫撃砲弾など小型爆弾を搭載可能です。
その他、Arcturus T-20、RQ-23 TigerSharkなど
グループ4
重量:約600kg以上
飛行高度:約5,480m以下
ここからはいわゆる大型機になり、離陸には滑走路が必要になってきます。有名なところでは既に退役してしまっていますが、初期のUAVとして活躍したMQ-1プレデター、そしての後継機のMQ-1Cグレイ・イーグルが該当します。有人航空機と変わらない大きさになり、衛星データリンクが可能で遠く離れた地から遠隔操作が可能です。攻撃用途としても積極的に使われ対地ミサイルのヘルファイを搭載、高度なカメラとセンサーを使い、高高度から空爆を行います。この他にヘリコプタータイプのMQ-8C ファイアスカウトなども該当します。
グループ5
重量:約600kg以上
飛行高度:約5,480m以上
グループ4との違いは飛行高度だけになり、高度1万km以上を飛行できる大型機が揃っています。攻撃UAVのMQ-9リーパーやアヴェンジャー(プレデターC)、偵察機のMQ-4Cトリトンや航空自衛隊が購入予定のRQ-4グローバルホークなどが該当します。武装やセンサーは戦闘機に引けを取らず、ピンポイントで標的を空爆、偵察を行いします。24時間、数千キロを飛行可能で一機で広範囲をカバーします。