世界最大の民兵組織「中国民兵」

世界最大の民兵組織「中国民兵」

中国には人民解放軍と人民武装警察部隊と2つの大きな軍事、警察組織がありますが、この2つに並ぶ組織としてあまり知られていない組織があります。それが、準軍事組織の「中国民兵」です。

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人民解放軍と同時期に誕生

中国民兵は人民解放軍(PLA)、人民武装警察部隊(PAP)と並ぶ中国共産党傘下の武装組織になります。その歴史は古く、PLA(紅軍)と並び1927年の中国内戦(国共内戦)時にはあったとされ、日中戦争時にはPLAの支援組織として機能、日本軍と戦っています。戦後も共産党傘下の主要部隊として国内の治安部隊として機能、国の発展と共に組織は大きくなっていきます。

任務

1997年に制定された中華人民共和国国防法において、中国民兵の任務について、以下のように記されています。

1.社会主義・近代化運動に積極的に参加し、生産などの分野で模範的な役割を果たす。
2.戦争準備、国境防衛、治安維持に関する任務を担う。
3.常に軍隊に参加して戦争に参加し、侵略に抵抗し、母国を守る準備ができている。

民兵は国防動員委員会によって監督されており、同委員会は、党総書記および中央軍事委員会委員長の組織として人民共和国の軍全体の最高司令官である中国国家主席の命令に従って、平時および戦時の有事の際は要員の派遣を民兵に命じることができます。

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世界最大の民兵組織

最盛期には1000万人の構成員がいたとされますが、現在は削減され、それでも800万人がいるとされます。これはPLA、PAPよりも大きい規模になり、世界最大の民兵組織になります。民兵は基幹民兵と一般民兵に分けら、基幹民兵は第一種予備役であり、一般民兵は第二種予備役になります。基幹民兵は高射砲、地砲、通信、偵察、防化などの専門分隊を編成しています。アメリカの州兵のようにまとまった部隊や組織編制ではありませんが、定期的な軍事訓練を受けています。

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民兵を構成する国営企業

民兵とは一般的に郷土を守るために、住民によって編成された軍隊とその兵士のことをさし、職業軍人ではなく、通常は一般の業務行っており、国に危険が迫った時に武器を取るものです。アメリカだと州兵が、ウクライナでも領土防衛隊がそれにあたります。中国では「通常の職務を維持する民間人で構成される武装集団組織」、中国の軍隊の構成要素、および人民解放軍の「補助および予備軍」と定義しています。そして、これを構成する重要な要素に国営企業があるとされます。

共産党の独裁、社会主義国家である中国はインフラや通信、重工業を担う大手企業が国営、共産党傘下にあり、党の意向や指示に沿って企業活動を行っています。これら国有企業の有事の際に重要になってくるのが海運、鉄道、航空であり、これらの企業は軍隊の輸送や物資の補給などで大きな役割を果たします。台湾有事の際にはこれら企業が所有する民間のフェリーや航空機と人員が駆り出され、部隊と物資の輸送といった兵站担うことが懸念されています。中国が民間の船や航空機を使用した場合、それを撃墜することは難しくなります。

こういったのは企業だけではなく、大学には民兵のサイバー部隊がありとされます。

東シナ海の漁師は海事民兵

中国民兵で最も活発な活動しているのが海事民兵です。尖閣諸島や南沙諸島など、侵略を狙う周辺海域で漁業を行っているのが海事民兵とされています。見た目は通常の漁船ですが、乗っている漁師は人民解放軍海軍と中国海警局によって軍事訓練を受けた民兵とされ、海軍と海警局の命と資金提供によってこの海域周辺で漁を行い、漁以外に監視と偵察、妨害活動を行っているとされます。この活動を担っているのが、国営企業の一つである中国遠洋運輸集団(COSCO)であるとされています。

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Source

https://baike.sogou.com/v563862.htm

https://www.spf.org/iina/articles/yamamoto_09.html

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