ロシアを代表する銃メーカーであるカラシニコフ社が2020年9月に発表したMP-155 ULTIMA(ウルティマ)ショットガンは未来の銃のベースになる画期的な銃になるかもしれません。
IoTという言葉をご存じでしょうか?”Internet of things”(モノのインターネット)を意味するこの言葉は物(Things)がネットにつながることを指します。例えば冷蔵庫がネットにつながることで冷蔵庫が閉まっていない時にネットを介してスマホにアラートを出したり、扉の開閉回数を集計したり、中に何が入っているかをネット上で管理することができます。MP-155 ULTIMAはこのようにネットとつながるIoTショットガンです。
MP-155 ULTIMAはゲームから発想を得た銃です。後方のレシーバーブリッジ、リアサイトにあたる部分には液晶ディスプレイ、Wi-Fi、Bluetooth、バッテリー、センサー、その他の電子機器が内蔵され、ハンドガードの上部フロントにはフルHDカメラが装備されています。内蔵のセンサーはショット数をカウント、これにより残弾数もカウント、ショットの時間までも記録します。カメラは一連の射撃シーンを銃口目線で映像に納め、ヒットの有無、ヒットしたターゲットの数を記録します。記録されたデータは液晶ディスプレイに表示されます。そして、これらのデータは全てWifiまたはmini USBでコネクトされスマートフォンに同期、スマホとネット上で自分の射撃記録を管理することができます。さらに内蔵されるコンピューターは撃ち方を指南してくれるらしく、いたせりつくせりのショットガンになっています。
その他にもコンパスとGPSが内蔵されており、これは銃の位置を示し、紛失、盗難されても追跡が可能にします。
銃としては、もともとあったセミオート式のMP-155ショットガンをベースに開発されたものであり、一体化されたピストルグリップ、取り外し可能なストック、上部及び下部ハンドガードを備えたレシーバーカバーで構成され、シャーシのコンポーネントはアルミニウムとポリマーでできており軽量化されています。ストックには調整可能なチークピースと、異なる長さに交換可能なバットパッドと、異なる形状のコームセクションがあります。
12/76口径、装弾数6+1、重量4.2kg、全長1024mm、バレルの長さは510mm、有効射程は約50-70メートルでショットガンとしては標準的なものです。
残弾数、ヒット数記録ができる銃はまるでゲームに出てくる銃なようでゲーマーにとっては非常に魅力的ですが、兵士にとってはあまり使いがっては良くないようです。液晶は太陽光を反射し、視界を邪魔することがあり、また反射光で敵に発見される危険性もあります。液晶に表示される膨大な情報は戦闘、緊急時に見る余裕はありません。フロントのカメラもサイティングの邪魔になります。
そのためこの銃は軍用といった実戦用ではなく、競技やシューター向けの銃になります。しかし、MP-155 ULTIMAは大きな可能性を秘めており、例えば、スマートグラスと通信して、視覚上に残弾を投影するなどFPSゲームにより近いインターフェイスなど、今後より実戦的な機能の開発につながることが期待されています。MP-155 ULTIMAは2021年に発売予定で、販売予定価格は10万ルーブル(約14万円)です。
https://en.kalashnikov.media/video/weapons/kalashnikov-predstavil-pervoe-v-rossii-smart-ruzhe-mp-155-ultimahttps://www.thefirearmblog.com/blog/2020/08/28/kalashnikov-concerns-new-mp-155-ultima-smart-shotgun/