NATO北大西洋条約機構の加盟国一覧

NATO北大西洋条約機構の加盟国一覧
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北大西洋条約機構は通称NATO(ナトー)と呼ばれ、北米とヨーロッパ諸国によって結成された世界最大の軍事同盟。NATOは”North Atlantic Treaty Organization”の略。
第二次世界大戦後に資本主義と共産主義の対立が深まる中、ソ連を中心とする共産圏(東側)に対抗する多国間軍事同盟として1949年にアメリカとイギリスを中心に西側陣営の国が集まって結成される。冷戦が終結した今でも対ロシア、対テロ戦争、平和維持活動などを目的とし活動領域を全世界に広げている。当初12か国で始まったNATOは現在30か国まで膨れがっており、そこで加盟国の一覧と遷移をまとめみた。

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設立時‐1949年 12カ国

アメリカ

大戦時は連合国軍の主力して勝利に貢献し、以降、軍事力世界一位の大国として君臨。大戦後の冷戦においてはソ連に対峙する急先鋒としてNATOを先導する。1991年にソ連崩壊、冷戦が終結するもNATOの役割を域外紛争まで拡大し、テロ戦争、イラク戦争にNATO同盟国を動員している。国際連合安全保障理事会の常任理事国の一つでもある。

イギリス

軍事力世界8位(2019年)。アメリカと共にNATOの創設国になり、リードする国になる。湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争でもNATOの同盟国として参戦し、主要な役割を担っている。国際連合安全保障理事会の常任理事国の一つでもある。

アイスランド

北欧にある小さな島国。大戦時は中立を宣言し独自の軍を保有していなかった。しかし、アイスランドはワシントンとモスクワを結ぶ直線最短距離に位置しており、両国にとって戦略上重要な場所にあることから早々にNATOに加盟し、米軍を主体としたNATO軍が駐留し、 国の防衛、安全保障はNATOに依存していた。しかし、2006年に米軍は撤退している。平和維持目的のアイスランド危機対応部隊という軍事組織を有し、アフガンになどに派遣されている。

イタリア

軍事力世界11位(2019年)。第二次世界大戦では敗戦国ながら早々に加盟。以後、NATOの南欧方面部隊の中核として役割を担う。2001年には15か国からなるイタリア北大西洋条約機構緊急展開軍団を指揮している。

オランダ

軍事力世界35位(2019年)。2011年には大胆な軍縮を行い戦車、自走榴弾砲を全廃した。平和維持活動に積極的に参加している。

カナダ

軍事力世界21位(2019年)。隣国アメリカとは北米の防空目的で「北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)」を設立している。カナダはNATOの枠組みの基、多国籍軍、平和維持軍に数多く参加してきたが2003年のイラク戦争ではアメリカの政策に同意しなかった。

デンマーク

軍事力世界51位(2019年)。 大戦時にドイツに早々に占領された苦い経験からNATOに加盟。平和維持活動、テロ戦争には積極的に参加している。2018年にはトランプ大統領が戦略的価値があるとしてデンマーク領のグリーンランドを購入したいと発言して、ひと悶着があった。

ノルウェー

軍事力世界36位(2019年)。スカンジナビア半島の3国では唯一のNATO加盟国。大戦時にドイツに早々に占領された苦い経験からNATOに加盟。男女ともに徴兵制がある。

フランス

軍事力世界5位(2019年)。NATO加盟国では米国に次ぐ軍事力を誇る。当初NATO本部はパリに置かれたが、1966年にアメリカのヨーロッパ介入に反発してフランスは軍事機構の加盟から脱退したためベルギーに移設されている。2009年に軍事機構の加盟に復帰している。国際連合安全保障理事会の常任理事国の一つでもある。

ベルギー

軍事力世界68位(2019年)。大戦まで中立主義を布いていたが、大戦でドイツに占領されてからは集団的安全保障の政策に舵を切りNATOに加盟する。ベルギーのブリュッセルにNATO本部が置かれている。

ポルトガル

軍事力世界67位(2019年)。大戦時は中立国の立場だったが、アメリカ、イギリスに港湾の利用を許可するなど連合国側に協力していた。

ルクセンブルク

ドイツ、フランス、ベルギーに囲まれ、神奈川県ほどの面積しかない小国。第一次、第二次大戦共にドイツに占領されている。軍は陸軍しか保有していない。

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1952年 14カ国

ギリシャ

軍事力世界28位(2019年)。 大戦時はイタリア、ドイツ、ブルガリアの三軍に侵攻され、占領される。戦後には共産主義派と王党派で内戦が起き、アメリカの支援を受けた王党派が勝利する。1955年から続くギリシャ系住民とトルコ系住民との間で起きたキプロス紛争にNATOが介入することを理由に1974年に一度軍事機構を脱退、1980年に再加盟している。

トルコ

軍事力世界9位(2019年)。トルコはオスマン帝国時代からロシアの南下政策により、度々戦争が勃発しては苦汁を舐めていた。かつては犬猿の仲だったロシアだが最近は互いに接近しつつあり、アメリカとの仲たがいもあり、NATO脱退の噂が飛び交っている。またトルコは欧州連合に加盟しておらず、申請は出しているが人権問題を危惧して承認には至っていない。

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1955年 15カ国

ドイツ

軍事力世界10位(2019年)。 第二次大戦後は西側が統治する西ドイツとソ連が統治する東ドイツに分かれており、1955年に加盟したのは西ドイツのみになる。
1990年の東西ドイツの統一により、西ドイツと東ドイツは単一ドイツしてNATOに加盟することになる。ドイツ軍はNATO軍の中核になるがイラク戦争には反対し派兵しなかった。

ワルシャワ条約機構設立

この時になるとソ連も脅威を感じたのか同年に東ドイツを含む共産圏の東ヨーロッパの国々にベトナム、ラオスなどアジア3か国を含む11か国によるNATOの対抗組織ワルシャワ条約機構を設立する。 ソ連崩壊に伴い1991年に解散。

加盟国

ソビエト、ブルガリア、ルーマニア、東ドイツ、ハンガリー、ポーランド、チェコスロバキア、アルバニア、ベトナム、モンゴル、ラオス

1982年 16カ国

スペイン

軍事力世界20位(2019年)。あまり知られていないがスペインは大戦時、参戦までしないも枢軸国であった。戦後はフランコによる30年にも及ぶ独裁政権が続く。フランコが1975年に死去、1982年に民主化を実現したためNATOに加盟が許された。2001年にスペイン北大西洋条約機構緊急展開軍団が設立されている。

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1999年 19カ国

チェコ

軍事力世界30位(2019年)。チェコスロバキア時代は共産圏としてワルシャワ条約機構に加盟していた。1989年に民主化革命が起き共産政権が崩壊し、1993年にはチェコとスロバキアに分離する。

ハンガリー

軍事力世界55位(2019年)。 同じく旧共産圏になりワルシャワ条約機構に加盟していた。ハンガリー民主化運動が起き1989年に民主主義国家に移行している。

ポーランド

軍事力世界24位(2019年)。 同じく旧共産圏になりワルシャワ条約機構に加盟していた。ワルシャワはポーランドの都市名になり、そこで設立された。大戦時はドイツとソ連に侵攻され、大戦後はソ連の従属国家となり、共産党による一党独裁体制が始まる。1989年に自由選挙が行われ民主化を実現する。現在は対ロシアのNATOの前線基地として多くの米軍が駐留している。

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2004年 26カ国

エストニア

バルト三国の一つになり、ロシアに国境を面している。第一次大戦時にロシア帝国から独立するも第二次大戦時にソ連に再び占領される。しかし、ソ連崩壊に伴い1991年に再び独立を果たす。防空はNATO軍に依存している。

ラトビア

同じくバルト三国の一つ。エストニアと同様の歴史で1991年に再び独立を果たす。1998年までソ連軍(ロシア軍)が駐留していた。

リトアニア

同じくバルト三国の一つ。エストニアと同様の歴史で1990年に再び独立を果たす。国内にはドイツ軍を主力としたNATO軍が駐留している。

スロバキア

軍事力世界60位(2019年)。 チェコスロバキア時代は共産圏としてワルシャワ条約機構に加盟していた。1989年に共産政権が崩壊し、1993年にチェコとスロバキアに分離する。

スロベニア

軍事力世界88位(2019年)。 旧ユーゴスラビア連邦の一つになり、共産主義圏の国だった。1991年に独立を果たす。

ブルガリア

軍事力世界49位(2019年)。 旧共産圏になりワルシャワ条約機構に加盟していた。大戦中にソ連の侵攻を受け、王政が崩壊、ソ連の属国となる。1989年に共産主義政権が倒れ、元国王が首相になり共和制になる。

ルーマニア

軍事力世界40位(2019年)。同じく旧共産圏になりワルシャワ条約機構に加盟していた。 大戦時はソ連軍の侵攻を受け、ソ連に対抗するためドイツ軍側につくが情勢が悪いと判断すると連合国側についた。戦後はソ連の圧力により共産主義政権が樹立するもソ連とは一線を画し西側とも繋がりを持っていた。1989年にルーマニア革命が起き、独裁政権が倒れ民主化する。2010年にはアメリカの要請でイランに対抗するため欧州ミサイル防衛(SD)計画に参加し地上発射型迎撃ミサイル SM3を国内に配置している。

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2009年 28カ国

アルバニア

軍事力世界92位(2019年)。旧共産圏になりワルシャワ条約機構に加盟していた。大戦時はイタリア軍の侵攻を受けイタリアの影響を受けた傀儡政権が樹立。枢軸軍として大戦に参加するもイタリアが降伏するとドイツ軍に占領される。その後、ソ連軍の協力を得て、ドイツ軍を駆逐すると、戦後はソ連軍の影響を受け共産主義政権が樹立。しかし、1962年にソ連と対立してワルシャワを脱退している。1989年に民主化運動が起き、1992年に民主化を実現する。

クロアチア

軍事力世界70位(2019年)。旧ユーゴスラビア連邦の一つになり、共産主義圏の国だった。大戦時にユーゴスラビアから独立を果たし枢軸軍に参加するが、敗れ大戦後はクロアチアは消滅しユーゴスラビアの一部になる。1990年に再び独立を果たす。

2017年 29カ国

モンテネグロ

軍事力世界119位(2019年)。旧ユーゴスラビア連邦の一つになり、共産主義圏の国だった。2006年にセルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)から分離する。モンテネグロはユーゴスラビア時代の1999年にNATOが空爆したかつての敵国になる。

2020年 30カ国

北マケドニア

軍事力世界127位(2019年)。旧ユーゴスラビア連邦の一つになり1991年に独立。国力の弱いマケドニアは独立当初より、NATOへの加盟を望んでいたがギリシャの反対にあって加盟できなかった。理由は「マケドニア」という国名がギリシャの歴史を象徴する地名であったため。しかし、2019年に国名を「北マケドニア」に変更したことによりギリシャ側も加盟を容認、2020年に晴れてNATOに加盟した。

2023年 31カ国

フィンランド

NATO

2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。ヨーロッパの安全保障は大きな転換をせまられることになる。ロシアの野心を目のあたりにしたことで、これまでロシアに配慮し、中立を保ってきた北欧のスウェーデン、フィンランドがNATO加盟に舵を切った。NATO加盟には加盟国の全会一致が必要だが、両国がトルコが政治犯と定めるクルド人の亡命先になっており、引き渡しを拒否していることから、トルコは当初、加盟に反対の姿勢を見せるも、その後、フィンランドの加盟を了承。2023年4月に31番目の加盟国となった。

スウェーデンに関してはトルコは承認していないいが、7月にはエルドアン大統領が加盟を認める発言をしており、同年中に加盟する可能性は高い。

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