アメリカ軍、イギリス軍、オランダ軍、インド軍など各国で導入、検討が進むSmartShooter社の電子照準補正システム「SMASH」。通常のライフルを安価に対ドローン兵器にできるという事で各国の軍で注目を浴びている。
SMASH Fire Control System
イスラエルのSmart Shooter(スマートシューター)社が開発したシステム「SMASH 2000 」は、兵士のアサルトライフルに取り付けることができる電子光学照準機器になり、米軍が選定を進めている次世代分隊火器(NGSW)に導入を検討しており、NGSWの候補の一社でもある銃メーカーのSIG Sauer社と組んで検証を進めている。 他にもイギリス軍やオランダ軍、インド軍も採用のための検証を進めている注目のシステムだ。
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ミスショットを減らす
どの軍も兵士のミスショット、迷走射撃を減らし、兵士の射撃精度を上げたいと考えており、射撃補正ツールに高い関心を持っている。SMASHはターゲットを正確に認識、ロック、エンゲージすることができ、確実に命中する場合にのみ弾丸を発射できる仕組みを提供する画期的なシステムだ。
SMASHは高度なデジタル照準器で、レーザー測距計、赤外線カメラ、ジャイロ、加速度センサー、画像認識ソフト、射撃補正システムが内蔵。SMASHと連携してライフルのトリガーを制御する装置も含まれている。
仕組みとしては射手はスコープを覗き、狙いたいターゲットを捉えレティクル(十字線)に合わせたらボタン押す。そうすると小さな正方形でターゲットはマークされ、マークした情報はコンピューターに送られる。次にターゲットを狙ってトリガーを引くが、マークしたターゲットが確実に命中できるようスコープがとらえていないと弾丸は発射されない。標的の識別と照準の判定はSMASHが判断し、トリガーを制御する。当たると判断しない限り、トリガーをいくら引いても弾丸は発射されない。ターゲットを正確に捉え命中できると判断すれば弾丸は発射される。この時、射手はトリガーを引いたままスコープを移動して敵を捉えれば、弾丸は勝手に発射される仕組みだ。弾道コンピューターは標的までの距離や移動速度、弾丸の落下まで計算して命中の可否を判断しており、移動する標的に対しても有効になる。
実際、120m離れた高速に動くドローンに取り付けられたバルーンを撃ち抜くことに成功しており、オランダ軍のテストでは吹雪という過酷な環境で200m先のドローンに3発以内に命中させている。空中を高速で動く、ドローンを数発を仕留めるのは射撃に秀でた兵士でも難しいとされるがSMASHを使えば技量に関係なく撃ち落とせる。当初は人的対象を目的に開発されたが、脅威が高まりつつあるドローンを対象にしたアンチドローン兵器として注目を浴びている。
この技術が上手くいけば、戦場での誤射やフレンドリーファイアーを防ぎ、弾丸の消費を抑えることも期待させる。
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